第11話 ユラギカゼとカミたち

文字数 1,055文字

僕は、シロハナノカワノキミに頼まれて、ヤマミズノカミを探しに川をさかのぼっていった。
川をさかのぼるのは、向かい風で僕は飛べない。
慣れない歩きに何度もつまずき、もうやめようかとくじけそうになる。

「あと2人、子を助ける為に頑張らなきゃ」

立ち上がって空を見ると、ヤマノカゼの兄様が降りてきてくれた。

「ユラギカゼ!なぜチを歩いているんだい?」

僕はカワノキミが泣いて頼んで来たことを話して、頑張ってるんだと笑って答えた。

「よし、わかった。待っておいで、知り合いのトリノカミに頼んでみるよ。」

「でも、聞いてくれるかな?手伝うカミがいるかな?」

「うふふ、それはお前しだいさ。お願いするんだよ、心から。」

「うん、わかりました。」

と、言うわけでやって来たのは、コマドリノカミの3姉妹。

「きた、わよ」「わよ」「よ」

「えっ?!ちょっと、思っていたより小さいけど?」

「私たちはカミよ!」「よ!」「まかせなさい」

「あんたが歩くより速いわよ!」「よ!」「よ!」

「いいわね!」「いくわよ!」「よ!」

「「「  ふんっ!  」」」

3羽で両肩と、襟首くわえてパタパタ上がる。
僕は確かに重さは無いんだけど、風に乗りやすい。

ひゅうう……

「「「  むぐーーーー!!  」」」

向かい風にあおられ、あっという間に元に戻った。

「「「  ひい、ひい、ひい  」」」

「あのー、やっぱり歩きます。」

何だか申し訳なくて、頭を下げる。
でも、コマドリノカミ3姉妹は、ハジマリノキミと仲が良かっただけに、なんとか力になりたかった。

「駄目ね」「駄目だわ」「ぜんぜん駄目」
「兄様たちよ!」「そうね」「兄様たちを呼びに行きましょ!」

コマドリがどれだけ増えたって、無理な気がする。

「すいません、歩きますから。」

「いーえ!私たちに出来ることなんて」「少ないのよ」「だから頑張るわ!」
「「「 あたしたち、ハレニギノカミと仲が良かったの!力になりたいの! 」」」

声を揃える3姉妹は、目をうるませてギュッと羽を握る。
ユラギカゼは、その気持ちに頷いた。

「「「  あら?  」」」

後ろから、ひょいとユラギカゼがつままれて、ポーンと投げられた。
ポスッと落ちた所は、ヤマイヌノカミの背中だった。

「あら、クロフサノヤマイヌノカミじゃない。」「お任せ出来る?」
「この子、歩くの下手くそなのよ。」

「うむ、見ていた。」

「ありがとう!えーと、クロフサノ……」

「クロさんでいい。」

「はい!クロさん!」

「うむ」

挨拶もすんで、すたすた、山の方角へと歩き始める。
コマドリノカミも僕の肩に止まって、一緒に探しに出た。
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