白色の姫君

文字数 570文字

普段はモップをバット代わりに遊んでばかりの男子。

手が汚れると雑巾を触りたがらない女子。

でも今日は率先してヘドロに入りゴミを拾います。

皆の川だもんね。

そしてヘドロの怪物は…その大きなクチでゴミを水ごと吸い込んでいました。

「モゲッ!」

あ、咳き込んだ(汗)

少しゴミを吹いてます。

たぶん容姿とコレを誰かに見られて変な噂が広まったのでしょう。

川を汚したのはこの子じゃなかったんです。

ランカは気付いていました。

川を見る瞳が悲しそうだったから…。

それからしばらくして、川は見違える程綺麗になりました。

そして不思議な話なのですが掃除が進むにつれて川の色が透明に戻ってきたのです。

ゴミを拾っただけなのに緑のヌメヌメも消えてしまい川はすっかり元通りになりました。

清らかな流れが日の光に照らされてキラキラ輝いています。

すると急に空が暗転して…いえ、違いました。

怪物が眩しい光を放ったから周りが暗く感じたんです。

そして光の中心から現れたのは純白の美しい女の人でした。

彼女は皆に語り掛けます。

「ようやく本当の姿に戻れたわ。あなた達のお陰よ。ありがとう」

その声は清流の様に澄んでいます。

「美しい川を取り戻したいと願うあなた達の気持ち忘れません。いつまでもその綺麗な心を大切にして下さい」

姿を確認出来たのはほんの短い時間で、やがて散り行くカスミの様に消えてしまいました。
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登場人物紹介

鈴音(すずね)


修道院の貧困を救うためにお金を稼げる大人を目指している孤児院出身の女の子。

努力と根性で高名な魔法学校に次席入学を果たした。

過去に壮絶な死別を経験しており、食べ物を粗末にする事を極端に嫌う。

明るく積極的で協調性にも優れ友達が多い。

しかし実は周囲の生徒と価値観が合わず、本当の友達と呼べるのはランカ一人しかいない。


演者:CHOCO鈴音

蘭華(ランカ)


すずねの親友で魔法学校を主席で入学した秀才。

天才肌で大抵の勉強は授業のみで覚えられる。

しかし将来に対して何の希望も目標も持てず悩んでいる。

明るく行動的なすずねに刺激を受けてうわさ話を追いかけている。

意外と抜けている一面も。

好物はラーメン。


演者:CHOCO蘭華

亀谷商店のトメさん


駄菓子屋の店主をしている蘭華のおばあちゃん。

とっても優しくて、すっごく恐い。


演者:無糖あず

※本作の監督です。トメさん役が見つからずピンチヒッターとして俳優デビュー。二次創作“君影草と魔法の365日”の作者。

消えた石像


とっても恐い形相をした石像。

魔法学校の玄関に2対飾られている。


演者:猫威ガーディー

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