駄菓子と魔法の亀谷商店
文字数 973文字
箱庭魔法学校の敷地内には生徒や教員の為に存在する小さな商店街があります。
様々な店が軒を連ねていて、見つからない物はほとんどありません。
今すずとランカはその一角にある駄菓子屋“亀谷商店”へ向かっていました。
店主の“トメ”さんはランカの祖母。
そしてすずや他の学生達にとってもおばあちゃん的な存在でした。
良い事をすれば褒められ、悪い事をすれば怒られ、悲しい事があれば慰めてくれます。
トメさんは厳しくも優しいおばあちゃんでした。
皆さんは魔法学校の生徒が駄菓子屋へ通う事を疑問に思うかも知れませんが…
実はこの店、表からは見えない別の顔があるんです。
ランカが秘密の合言葉を伝えると、お店の奥に手招きされました。
表向きはレトロでショーワな駄菓子屋さん。
でも秘密の隠し部屋に入ると空気が一変します。
薬棚には瓶詰めにされた奇妙な動物の姿干しやキノコ、液体が並び…
木の床には五芒星の魔方陣が描かれていて、魔法語とも違う難解な文字が記されています。
火にかけられた大きな魔術釜の中は不気味な紫色の液体がクツクツと煮立っていました。
照明は暗く抑えられていてロウソクの火が妖しく揺れています。
ソコは朱色に染められた異国の薫りがする魔法屋なのでした。
トメさんは箱庭魔法学校の卒業生で魔法薬に精通する薬剤師だったんです。
あ、因みに物凄く怪しくて違法な雰囲気満点のかめやですが営業許可を貰ってる正規のお店ですよ。
なにしろ魔法学校の先生達もお世話になってるくらいですから。
何事も雰囲気作りって大切なんです。
ランカはこれまでの経緯をちょっと緊張しながら説明します。
…と、あー痛そう(汗)
次の瞬間、2人は堅い樫の杖でゴツンとお仕置きされました。
そりゃそーです。
いくらガーゴイルから口止めされていたからと言って、詳しくも無い毒物を勝手に料理して食べさせたりすれば当然叱られるでしょう。
でも、それは承知の上での相談でした。
2人とも成り行きで此処まで来ましたが、今はガーゴイルを助けてあげたい気持ちでいっぱいだったのです。