汚された思い出
文字数 389文字
2人はその光景にしばらく言葉を無くしました。
「酷いの…」
身体に悪そうな青緑の水。
やっぱり魚の姿がありません。
そして川底には大量のゴミが沈んでいました。
空き缶やペットボトル、古タイヤにプラスチックの鉢。
冷蔵庫やテレビまであります。
「ねぇねぇ、このままじゃ川が死んじゃうよ」
見ていられないという様子のランカは汚れた川の中に入ってゴミを拾い始めました。
川の水は冷たく、噂通りの嫌な臭いがしました。
まるで川そのものが腐ってしまった様です。
必死に拾い続けるランカ。
でもいくら拾ったところで数え切れないゴミの中の一部に過ぎません。
「私たちだけでゴミを拾っても仕方ないの」
すずはここで2人がゴミを拾い続けても無理だと感じました。
止める様に声を掛けますがランカは聞く耳を持たずに黙々とゴミ拾いを続けます。
実は少しムキになっていました。
想い出の詰まった千年川が汚れたままなのは許せなかったんです。