第17話
文字数 1,112文字
「…さて、約束の時間まではまだ十分にあるな」
授業時間中に上手く裏口から学校内に入り込んだおかげで誰かに会うことはなかった。ここは滅多に使われることのない休館の第5視聴覚室。不登校になる前もよく入り浸っていたがボクという住民を失って以前よりも荒れ放題になっていた。
「確か休館のグラウンドの更衣室周辺を指定したんだっけな。ここなら万が一ボクが”ミサキ”と会うことになっても人に気付かれにくいだろうし…監視カメラの位置もいい感じだしな」
ボクの実力をもってすれば校内の監視カメラの映像を全て覗き見ることなど容易い。そうだ、時間もあることだし待ち合わせ場所以外にも校内の様子を色々と見てみよう。真面目に授業を受けている奴らの面でも拝んでやる。
「お、第2実験室は面白そうなことしてんな~。待て待て、そっちはちゃんと共洗いしろって。教師、ちゃんと教えてんのかw?」
次々と映像を切り替える。高校棟はあまり使っていなかったため自分の学校という感覚が薄かったが、中学棟や共同利用棟には懐かしさを感じた。
「さて、こっちの映像は~ってこの女は…!」
―「やめろ!それはボクが3か月かけて作った理研特区一の性能を誇るタブレットPCだ!」
「理研特区一?このみすぼらしいガラクタが?」
「フン、数か月前まで小学生やってたやつにはわからないだろうな!機械の性能は見た目じゃない!」
「…そう。ねえ、先輩方、理研特区一の性能を誇るタブレットPC、耐久性の方はいかがなものか知りたくありません?」
「いいね、ちょうどこの前できた硫酸より強い薬品の効果を確認したいと思ってたんだよね」
「いやわざわざ自信作を使わなくてもいいんじゃない?」
「叩けば壊れそうよね~」
「やめろ!大体お前なんなんだよ!?入学してすぐボクを目の敵にして!学年だって違うし、面識もないだろ!」
「そうね…確かに面識はないけれど…狩生先輩、あなたの存在が邪魔なの」
「ハアッ…ハァッ…嫌なことを思い出した」
だが”白鯨”についてずっと引っかかっていたことがはっきりした。記憶を封印していたせいで気付くのが遅れた。そうか、政治的・経済的影響力のあるあいつらなら…!あの女がボクのことを徹底的に叩き潰そうとしたのも、ボクが”白鯨”の存在を嗅ぎつける可能性が高いと思ったからだ。
「そうだ、そろそろ時間か…?どれ、”ミサキ”らしき人物は…」
映像を切り替えるときょろきょろとしながら青い短髪の女が現れた。
「…違う、あいつじゃない…じゃあ本当に白鯨を追う同志ってことか!?」
嬉しくなったボクはすぐに”ミサキ”にメッセージを送った。正義はボクを見捨てなかった!こいつと手を組めば憎き金ヶ崎の悪事を止めることができる!
授業時間中に上手く裏口から学校内に入り込んだおかげで誰かに会うことはなかった。ここは滅多に使われることのない休館の第5視聴覚室。不登校になる前もよく入り浸っていたがボクという住民を失って以前よりも荒れ放題になっていた。
「確か休館のグラウンドの更衣室周辺を指定したんだっけな。ここなら万が一ボクが”ミサキ”と会うことになっても人に気付かれにくいだろうし…監視カメラの位置もいい感じだしな」
ボクの実力をもってすれば校内の監視カメラの映像を全て覗き見ることなど容易い。そうだ、時間もあることだし待ち合わせ場所以外にも校内の様子を色々と見てみよう。真面目に授業を受けている奴らの面でも拝んでやる。
「お、第2実験室は面白そうなことしてんな~。待て待て、そっちはちゃんと共洗いしろって。教師、ちゃんと教えてんのかw?」
次々と映像を切り替える。高校棟はあまり使っていなかったため自分の学校という感覚が薄かったが、中学棟や共同利用棟には懐かしさを感じた。
「さて、こっちの映像は~ってこの女は…!」
―「やめろ!それはボクが3か月かけて作った理研特区一の性能を誇るタブレットPCだ!」
「理研特区一?このみすぼらしいガラクタが?」
「フン、数か月前まで小学生やってたやつにはわからないだろうな!機械の性能は見た目じゃない!」
「…そう。ねえ、先輩方、理研特区一の性能を誇るタブレットPC、耐久性の方はいかがなものか知りたくありません?」
「いいね、ちょうどこの前できた硫酸より強い薬品の効果を確認したいと思ってたんだよね」
「いやわざわざ自信作を使わなくてもいいんじゃない?」
「叩けば壊れそうよね~」
「やめろ!大体お前なんなんだよ!?入学してすぐボクを目の敵にして!学年だって違うし、面識もないだろ!」
「そうね…確かに面識はないけれど…狩生先輩、あなたの存在が邪魔なの」
「ハアッ…ハァッ…嫌なことを思い出した」
だが”白鯨”についてずっと引っかかっていたことがはっきりした。記憶を封印していたせいで気付くのが遅れた。そうか、政治的・経済的影響力のあるあいつらなら…!あの女がボクのことを徹底的に叩き潰そうとしたのも、ボクが”白鯨”の存在を嗅ぎつける可能性が高いと思ったからだ。
「そうだ、そろそろ時間か…?どれ、”ミサキ”らしき人物は…」
映像を切り替えるときょろきょろとしながら青い短髪の女が現れた。
「…違う、あいつじゃない…じゃあ本当に白鯨を追う同志ってことか!?」
嬉しくなったボクはすぐに”ミサキ”にメッセージを送った。正義はボクを見捨てなかった!こいつと手を組めば憎き金ヶ崎の悪事を止めることができる!