カラスくんのすきなもの第3話

文字数 566文字

 第3話

くるみは子供よりも少し手前に落ち、道路を跳ね上がり、そして転がった。


「あちゃー、早すぎた」


しかも高さがあるから、跳ね上がっちゃう。次はもう少し低めに落とさないといけないな。


そんなことを考えていたら、ふと気付いたんだ。あれれ?子供が動いていないぞ。

子供はかがんで、空から落ちてきたくるみを不思議そうに見ている。

そして何かを思い出したかのように、キョロキョロと周りを見始めたんだ。


その様子をボクは木の枝からずっと見ていたよ。だって、子供がいなくなったら、すぐにくるみを回収しないといけないからね。

それにしても何をやっているのだろう?



あ、目があった!



子供はボクを見付けると、なぜか笑っている。

どうして?

あれ、動き出した。

ん?道路脇から石を拾って、それで……くるみを叩き始めた!?


「!!」


この人間、僕のくるみを食べようとしている!


「やめてー!」


叫んだところで、言葉はわからないけど、

とりあえず叫んでみた。


「カー!カー!カー!」


しかし、子供は全然ひるまない。

それどころか、石のサイズを更に大きいものに変えて、何度も何度もくるみを叩きつけてる。

本気だ!この子供本気過ぎる!


がんがんがんがん


くるみを叩く音が辺りに響く。


カシャ!


殻にヒビが入った。そこからは早い。

割れた箇所を叩けば、ぽろりとくるみの実が出てくる。


ああー、食べられちゃう……。

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