第64話 心配

文字数 1,807文字

エレナの言葉を聞いた愛理は、良かったと安心すると自身の切断させれ復元した右腕を見て触れると、そこにはちゃんと自身の右腕が存在していた。愛理は右腕を左手で撫でていると、切断されたときの痛みを突如感じた。

「痛っ! 急に痛みが……」

顔を痛みで歪めた愛理を見た奏は、愛理の右腕を摩り始めた。楓と正人は大丈夫と愛理に声をかけた。

「大丈夫!? 治してもらった腕に何かあったの!?」

楓と正人は愛理に心配そうな顔をしながら話しかけると、愛理が切断されたときの痛みを思い出して痛みを感じただけと返す。すると、エレナが愛理の右腕を両手で優しく触り、魔法を詠唱し始めた。

「この者に優しい慈悲なる光を……セラティオ!」

セラティオと魔法名を口にすると、エレナの両手から淡い光が放たれる。その淡い光は愛理の右腕全体を包むと、掻き消えるように淡い光が消える。すると、先ほどから感じていた痛みが消えた。

「痛みが消えた……ありがとうエレナ!」

愛理はエレナにありがとうと言いながら抱き着いた。エレナは抱き着かれて私にはこれしかできないからと言いながら、愛理が傷ついたら私が回復するねと言う。

「ありがとう! あまり怪我しないようにするけど、怪我した時は助けてね!」

エレナは絶対助けると言って愛理から離れると、奏に愛理のために晩御飯を作ろうと話しかけた。愛理も料理作ることを手伝うと言うが、奏がお姉ちゃんはゆっくりしててと起きようと身体を起こしていた愛理をベットに寝かせた。奏はエレナと共に部屋を出ると二人に続いて楓と正人も部屋を出ていく。

愛理は一人で部屋にいると、エレナのおかげで助かったけど危なかったと冷や汗をかいていた。もしかしたら今現在生きているか分からなかったし、生きていたとしても右腕が切断されてなかったかもしれないと考えていた。

「突っ込みすぎた感はあったわね……次からは気をつけないと。 それにママにも戦ってたところ見られちゃったし、もう心配ばかりかけたくないな……」

どうやって今後戦おうかと考えてふとスマートフォンを手に取ると、メールが届いていた。その内容は葵からであり、中継で見たよと内容が書いてあって愛理は見てたんだと目を見開いた。その内容には続けて腕が切断されてたと驚いている顔文字付きで書かれてあり、右腕どうなったのと書いてあった。

そのメールが二時間前に届いてあり、そのメール後には数分おきに葵から電話がかかっていた。愛理は葵がこれだけ心配してくれて嬉しく思うが、逆に心配させてしまって申し訳なかった。

「葵にテレビ電話しよう」

愛理は葵にテレビ電話をするために、スマートフォンを操作した。葵に電話をかけると、五秒と鳴らずに葵がすぐに出た。

「うわ! すぐに出た!」

愛理が驚いた声を上げると、画面に映る葵は泣いていた。葵は愛理の元気な姿を見ると、葵が生きてると涙と鼻水を流しながら生きてて良かったと何度も繰り返し涙声で言っていた。愛理は葵に心配かけてごめんねと言っていると、葵が愛理が生きててよかったけど、戦うときは言ってと言う。愛理は難しいお願いだなと思いながらも、分かったと返した。

「けど、そのエレナって女の子の力凄い! そのおかげで腕が再生したんでしょ?」

葵のその言葉を聞いて、愛理は改めてエレナの力が強いことを考えていた。エレナのおかげで再生したが、その力はかなり精神力を使うのかエレナはその場で気絶してしまったのである。

「でもその強い力はかなり精神力使うのか、すぐ気絶しちゃったんだ。 だから、エレナには頼ることはできないんだよね」

愛理のその言葉に葵がそれはエレナちゃんに頼りっぱなしはやめようと言う。そして、もう怪我前提で戦わないようにと葵に釘を刺された。

「うん。 気を付ける! 心配かけてごめんね!」

愛理の笑顔を見た葵は笑顔を返して晩御飯だから行くねと言ってテレビ電話を切った。愛理はここまで心配してくれる葵が愛おしかった。友達としてずっと一生一緒に居たいと思った。

「葵が死にそうな場面があったら助けなきゃ。 でも言われた通りに怪我前提ではやめよう」

愛理はテレビ電話楽しかったと思いながらベットから出ると、奏が部屋に入ってきて晩御飯できたよと教えてくれた。愛理はありがとうと言うと、ふらつきながら奏の元まで歩いて行く。
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