第68話 旅館への道

文字数 1,493文字

愛理は奏の荷物も準備し終えると、エレナの部屋に入り準備が終わってるか聞こうとした。扉をノックして入るよと言いながら部屋に入ると、エレナの部屋は泥棒が入った後のように散らかっていた。愛理は何があったのか部屋全体を見渡すと、奥にある窓がに乱雑に積み重なっている服と下着の間から、エレナの顔が静かに出てきた。

「な、何やってるの!? 危ないでしょ!」

愛理はエレナの腕を服の中から見つけると、勢いよく引っ張って服のなかから引き抜いた。エレナは愛理にありがとうと言うと、ワクワクして準備してたら服が散らばって、気がついたら服に埋もれてたと言う。

「埋もれてたって……気をつけてよね……」

愛理が頭を抱えると、エレナは準備終わってると元気な声で言ってきた。

「準備終わったから、一緒に服とか片付けて!」

エレナが愛理に頼むと、わかったわよと溜息混じりに言い、素早く片付け始める。愛理も手伝いエレナの散らかした衣服類を片付け終わると、楓がそろそろ出発するわよと言う。愛理はちょうど片付け終わったわと言い、エレナの荷物を持って自室にある自分の荷物と共に玄関に歩いて行く。

「エレナの荷物も持って行くから、トイレとか済ませておきなさいよー」

愛理の言葉を聞いたエレナは、わかったーと声高々に行って直ぐにトイレに入った。楓は奏の学校やマネージャーに連絡したと言うが、奏の仕事が詰まっててまだわからないと言っていた。

「奏人気だなぁ……仕事がたまたま孔雀温泉ならいいけど……」

愛理はとりあえず奏の荷物も持っていくねと楓に言う。そして準備が全員終わると、楓、エレナ、愛理で孔雀温泉に向けて家を出た。最寄りの駅から一駅移動し、そこから孔雀温泉行きの快速電車に乗り換える手筈となっている。エレナは乗り換える駅に降りると、売店を発見したのか目をキラキラさせていた。

「何か欲しいの?」

愛理が商品を見ているエレナに話しかけると、美味しそうと一つの商品を見ていた。

「これ美味しそう! 皆で食べたい!」

エレナが手に取っているその商品はジャガジャガポッテーというフライドポテトに似た商品であった。エレナは愛理に買って買ってと言ってると、愛理はわかったわよと言って購入した。愛理はジャガジャガポッテーをエレナに渡すと、楓がいるホームの位置まで移動した。楓は先頭車両の方におり、一号車に乗るようである。

「ここにしましょ、座れるかも!」

楓はウキウキしながら愛理とエレナに話しかけていると、目当ての快速電車が来るとアナウンスが鳴る。エレナは電車楽しみだなとウキウキしながら自動販売機で購入したお茶を飲んでいた。

「早く電車に乗りたいなー電車電車電車!」

笑顔でお茶を握っている右手を上に突き出しながら軽くジャンプをしていた。楓はエレナにはしゃぎすぎよと注意すると、嬉しいんだもんと返答する。愛理はエレナの左手を掴んで、もうすぐ電車来るから危ないわよと止めた。

「ほら、左側から電車来てるわよ」

エレナを静かにさせると、ホームの左端から快速電車が到着した。愛理はこの電車に乗るのよとエレナに言うと、やっと電車に乗れると喜んでいた。

「電車に乗る時は気を付けてね。 ホームに落ちたら電車に轢かれて死んじゃうんだからね」

愛理のその忠告を聞いたエレナは気を付けると言って笑顔で電車に乗り込んだ。席は三人が座る分は空いていたので、すぐさま楓たちは椅子に座った。

「エレナは私の隣に座って、景色とか見てね」

楓がエレナに言うと、エレナは首を勢いよく上下に振って楽しむと言っていた。
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