第34話 奇跡の剣

文字数 1,519文字

愛理から出現した白い長剣は、剣の部分は透き通るように白く、目が奪われるほどに美しい。 また、柄の部分は薄い青色をしており、グリップ部分には白色が縦線で入っているようである。 愛理は自身から出現した長剣のグリップ部分を右手で握ると、長剣が眩く光り輝いた。

「これは! 握ったら凄い光が!」

愛理は眩く光り輝く長剣の明るさに目を瞑るも、長剣を握る手と長剣のグリップ部分が妙にマッチする感覚があった。 自身から出現した武器だからなのかわからなかったが、この長剣なら目の前にいる人型の怪人を倒せると直感がした。

「この長剣なら……お前を倒せる!」

愛理は長剣のグリップを強く握り、目の前にいる人型の怪人に向ける。 すると、人型の怪人は身体を震わせていた。

「オマエも……ナンダそのツルギは!」

人型の怪人は、愛理に対して鬼のような形相で叫ぶ。 両手を振り乱しながらそんな剣一本で何が出きると叫び、愛理に向かって飛び掛かってきた。 愛理は長剣を構えて、人型の怪人の右腕の刀を防ぎ、それを弾いて左腕の刀の攻撃を防ぐ。 愛理は今までと違い、身体がどう攻撃を防げばいいか直感で動けることが不思議に感じていたが、愛理はこの直感に疑問を感じずに動こうと決めた。

「この力で! お前を倒す!」

愛理は声を上げて、気合を入れる。 そして、目の前にいる人型の怪人の攻撃を捌きつつも、愛理は脇腹や頬などに切り傷を入れていく。 葵の槍もだが、身体から出現をした不思議な武器であれば、怪物に傷を与えることが出来るようである。 また、魔法でも傷は負わせられるが、高等な魔法でなければいけないために、愛理には魔法より今は手に持っている武器でなければ対処法がなかった。

「ブキを持ったテイドで強気にナルナ!」

連続で両腕の刀で切りかかる人型の怪人の攻撃を、愛理は長剣で何度も防いでいく。 先ほどと同じく、攻撃の隙をついて人型の怪人の腹部に蹴りや背中に回りこんで連続で背中を切り付けていく。 愛理の攻撃を何度も受けた人型の怪人は、雄叫びを上げてナメるなと攻撃速度を上げた。 愛理は速度が上がった攻撃に次第についていけなくなり、腕や太ももを切り付けられてしまった。

「速さに追いつけなくなってきた! でも、それでも、この剣でならお前を倒せる!」

愛理はいったん距離を置いて、再度剣を構えた。 そして、人型の怪人と数秒間その場から動かずに、お互いの反応を見ていた。 そして、頬を撫でる程度の風が周囲を流れた後、愛理と人型の怪人はお互いに動き出した。

「これで最後よ! 葵ちゃんや、みんなのために、お前を倒す!」

愛理は長剣を横に構え、人型の怪人の両腕の刀の隙間を狙っていた。 人型の怪人は、両腕の刀をクロスに構えて、愛理を切り殺す態勢をとっている。

「そんな攻撃!」

愛理は長剣を横に構えて、クロス切りを受け止めることが出来た。 愛理は太ももにかかる負荷の苦痛に顔を歪めるも、歯を喰いしばって負けるものかと声を上げて、人型の怪人の腕を上に弾いた。

「その腕をもらうよ!」

愛理はそう言いながら、人型の怪人の左腕を切り落とすことに成功をした。 切り落とされた左腕は地面に落ちると、そのまま蒸発して消えた。 その消えた自身の腕を見た人型の怪人は、唇を噛みしめてオレの腕ガと何度も呟いていた。 愛理はそのこえが聞こえずに、右腕を切り落とそうと切りかかると、人型の怪人の身体を黒い霧が包み始めた。

「な、何なの!? 黒い霧が怪人を包んで何をしようとするの!?」

愛理は突然発生した黒い霧が、目の前にいる人型の怪人を包み始めたことに恐怖を感じていた。
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