第61話 思わぬ味方

文字数 1,603文字

「本当にこのまま避難していいのかしら? 私には戦う力があるのに……私は逃げていいの?」

愛理は服を引っ張る奏に私戦うと言った。 その言葉を聞いた奏は、なんでお姉ちゃんはそこまでして戦おうとするのと聞く。

「奏や守りたい人を守るためだよ。 私はそのためにこの力を使うの」

奏の目を見て微笑しながら言うと、愛理はライトソードを発動させて特殊魔法部隊の男性が甲冑の怪物と鍔迫り合いをしている間に入っていく。 男性はなぜ逃げなかったと言うが、愛理が戦う力があるからですと言う言葉を聞いて良い根性だと笑っていた。

「私にだって力がある! 戦う力があるから指を咥えて見ていないで戦うんだ!」

愛理が叫びながら甲冑の怪物と戦うと、それを見ていたコンビニ内にいる一人の女性が、愛理を指差して叫んだ。

「やっぱりそうだ! テレビで見た女の子だ!」

その言葉を聞いたコンビニ内にいる他の人たちが、あの一人で戦ってた子かと愛理のことを口に出していた。

「頑張って! 私たちをあの時みたいに助けて!」

自分たちを助けてと何度も叫んでいると、奏がその声が聞こえたのか、怪物がコンビニを見ていないことを確認すると、ゆっくりとコンビニに向けて歩いた。奏がコンビニに入ると、一人の若い男性が奏だと声を上げた。 雑誌や歌番組などに最近出始めている奏を知っており、突然現れて目の前にいるので嬉しいようである。 しかし目の前にいる奏を見ると、その目つきや表情に怯えてしまう。

「な、なんだよその目つき……俺は何もしてないぞ!」

声を上げて奏に言うと、奏は私のお姉ちゃんは命をかけて自分が死ぬかもしれない可能性があるのに戦ってくれてるんだよと強い口調で言う。

「お姉ちゃんは学校での戦いで、死ぬほど辛い痛みや苦しみを味わったのに、もう戦わないって言っても誰も責めないのに、今あそこで戦ってくれてるの!」

その思いが込められた言葉を聞いた若い男性は、考えが幼くてごめんと奏に謝った。 すると、そばにいる初老の男性が攻撃が飛んできたと叫んだ。

「あの怪物の攻撃がこっちに飛んできた!?」

初老の男性が死ぬと叫ぶと、奏は大丈夫ですと落ち着いて話す。 奏が大丈夫といい終わると、コンビニの入口前に愛理がライトスピードで現れ、ライトシールドでその飛んできた攻撃を防いだ。愛理はライトシールドを展開しており、コンビニの入口前で甲冑の怪物が放った魔弾を防ぐことが出来た。 愛理はコンビニ内にいる奏を目で見ると、そのまま甲冑の怪物に向かって走っていく。

「あれがお姉ちゃんよ。 私たちを守るために命を懸けて戦ってくれているの」

奏の言葉にコンビニ内にいる人たちが申し訳ないと謝った。 奏は声を上げてすみませんと言うと、コンビニから出た。 そして、愛理が戦っているのを見ると奏は狙いを定めてフリーズと叫んで魔法を発動させた。愛理と特殊魔法部隊の男性が戦っている甲冑の怪物の動きが突然止まったので、二人は何が起きたのかと焦るが、甲冑の怪物の足が地面ごと凍っていた。

「もしかして…‥奏! なにしてるの! 早くこの場所から離れて!」

愛理が奏に逃げてと言うが、奏は今は一緒に戦うと言って愛理の言葉を聞かなかった。 愛理は奏に離れてサポートしてよと言って甲冑の怪物を再度見る。そこでは特殊魔法部隊の男性が一人で甲冑の怪物と戦っており、押されているようであった。愛理はライトソードとライトシールドを持ち、甲冑の怪物に突撃をした。

「私だって戦えるんだよ!」

ライトソードとライトシールドを駆使して、先ほどより連続で攻撃と防御が出来ていた。 しかしそれでも有効打を与えることが出来なくて愛理は悶々としている。また、既に甲冑の怪物が現れてから三十分以上経過しているので、愛理の体力が限界に近くあったのも悶々とする要因の一つでもあった。
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