第14話 入学式

文字数 1,908文字

愛理と葵が緊張していると話していると、体育館が突然暗くなった。 何が起こったと周りの生徒達が驚いていると、舞台に照明が当てられてそこには一人の男性が立っていた。 その男性は白いローブを着ていて顔は見えなかったが、すらっとした体躯をしていて身長が高いことは分かった。

その男性は、両手を広げるとその手から緑色と白色の掌の大きさぐらいだと思われる妖精を出現させた。 その妖精は小さな羽を広げて前方から後方へ飛んでいき、妖精が飛んだ後には桜と癒し効果があるアロマの匂いが漂っていた。

「すごーい! すごーい! 魔法でこんなことまで出来るんだ!」

葵は目を輝かせながら妖精を目で追い、愛理は妖精より魔法を発動した舞台にいる男性のことを見ていた。 愛理はあれはどんな魔法なのか気になり、あの舞台にいる男性は誰なんだとも気になっていた。 属性のある魔法ではないだろうし、魔法名も口にせずに発動をしていた。

「あのレベルになるまでは、どれくらいかかるんだろう……」

愛理が神妙な顔つきで舞台にいる男性を見ていると、妖精達が男性のもとに戻ってその姿を消した。 男性は妖精が消えるのを確認すると、ローブを脱いでその姿を現した。 ローブから見えた姿は三十代前半と思える年齢の男性であり、ローブの下にはスーツを着ていた。 そして、男性はマイクを右手で掴んで入学おめでとうと言う。 そのスーツを着ている男性はおめでとうと言った次の言葉で、私は校長の星空蓮だと話した。

「あの人が校長先生だったんだ! 想像より若かった!」

愛理は校長の姿にも驚いていたが、その苗字にも驚いていた。

「この学園と同じ名前なんだね! 親族なのかな?」

愛理のその言葉に葵が、この学園は創業者の子供達が幼稚舎から研究施設までの代表を一人ずつ勤めているらしいよと教えてくれた。

「そうだったんだ……知らなかった……」

愛理はこの学校の表面しかまだ見てなかったんだと思い、もっとこの学園を知りたいと思い始めていた。 愛理がそう考えていると、星空校長はこれからのことについて話し始める。

「今日入学した君たちはこれから教室に戻って、カリキュラムのことを担任教師から教えてもらう。 自分の魔法を伸ばすことや、勉学に励むためにこれからの方向を決めてもらう!」

愛理と葵はその言葉を聞いて、どんな魔法使いになりたいか、どんな方向で魔法を修得していきたいか未来に向かって歩き続ける自分の姿を想像するのが楽しかった。 それからは星空校長によって、各教科の教師の説明や自己紹介をしていき、それが終わると第一体育館から出ていき、教室に戻ることになった。

「そう言えば、終始暗くて舞台の上だけ明るかったけど、寝てた人少しいたね」

愛理の言う通り、殆どの時間が暗かったため寝ていた人が多少いた。 本当は校長の話の途中で明るくする予定であったが、それを担当する人が忘れていたために暗い中で進行をすることとなってしまっていた。

教室に戻ると、由良から全員に三枚のプリントが配られた。 その紙には一年ごとの行事が簡易的に書かれたものと、部活名が書かれている一覧と、魔法の授業の時に各属性で別れるので、その時に行く教室の部屋番号が書かれていた。

「結構行事が多いのね。 学園生活自体も楽しめそう!」

愛理は夢にまで見た通いたい学校だったので、面白そうな行事が多いのが嬉しかった。 例えば、定番の学園祭や運動会がある中で、愛理は魔法研究所に見学に行く行事に目がいった。

「魔法研究所って凄い場所じゃない! 行きたい!」

魔法研究所は、世界で最先端の魔法研究を行っている日本に本部がある研究施設であり、世界中の研究結果を取りまとめて新たな魔法の可能性を追求していいる施設である。

「さて、説明は以上ですのでこれから二階にある多目的ホールに行って教科書類を取りに行きましょう。 各クラス順ですので、この一組から先です」

そう言われて愛理達は二階に行き、階段を下りて右側にある多目的ホールに行った。 そこでは奥行きがある室内に、一つの机の上に一種類ずつの教科書が置かれていた。

「一個の机に一つの教科書があるので、全て取って教室に戻ってください」

由良のその言葉に従って愛理と葵は教科書を取っていく。 愛理はこんなに種類があるのとげんなりしていたが、これを覚えれば光属性の魔法をより扱えるようになるかなと考えていた。

「結構教科書多いねー。 覚えきれるか不安だよぉ」

葵はため息をつきながら教科書を持って歩いていると、愛理は多いねと葵に同意をしていた。
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