聞かされる事実。

文字数 686文字

 それから数日。変わらない日常は色彩豊かな風景へと変わった。
 恋をして人生が一変したからだ。

 それに、昨日の晩、今度病室に行くよと透人君の口から言ってくれた。そのことが本当に嬉しかった。
 勘のいい楓にこのことを知られたことは少し誤算だったけど。
「え!! それ本当に運命じゃん!! 凄い凄すぎるよ!!」
「ちょっと騒ぎすぎ」
 そう言った私の顔はきっと満更でもない表情をしていただろう。自分で言うのもあれだけど本当に浮かれてる。
「私より先に彼氏が出来ちゃうなぁ、うわぁぁぁぁ」
 楓はそう言ってベッドの上に突っ伏した。

「今日の夜も電話するんでしょ!! いいなぁぁ」
 その時病室がノックされ部屋に阿達先生が入ってきた。
 ようやく楓は時計を見た。
「やばい!! もうこんな時間。遅刻しちゃう!! またあとで!!」
 楓はそう言うと慌てて部屋を出ていく。
「楓ちゃんは本当に慌ただしいね」
 阿達先生はそう言って笑った。
「今日は予定通り、一度、ちゃんとした検査をするから。よろしくね」
「検査して、もし病気が進行してたらその時はちゃんと言ってください」
「でも……」
「教えてください。その方が知らないよりは色んな色が見える気がするから」
 私はその後病院内の色々な部屋を周り検査を行った。どの検査も文系の私にとってはよく分からないものだった。



 幸せは音を立てて崩れる。

 阿達先生に緊急で呼び出された母は阿達先生の診察室に私と一緒にいた。
 その後阿達先生から言われた言葉は私を幸せから暗い暗い穴の中へ落とした。

    私の見ていた色彩豊かな景色は、また色を無くそうとしてた。


「もって……余命、半年です」
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登場人物紹介

香西美波(かさいみなみ)

白血病の女子高生。

Talkmanのアイコン画像は羊。

小南透人(こなみゆきと)

病気の高校生

Talkmanのアイコン画像はロボット。

秋谷楓(あきたにかえで)

主人公(香西美波)の親友。

Talkmanのアイコン画像は黒猫。

阿達先生

主人公の担当医。

長澤

主人公が入院している病院のナース。

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