プレゼント
文字数 441文字
唇と唇が優しく触れ合った。落ちてきた涙がしょっぱかった。
透人は号泣した。すると透人はポケットから一枚の紙を取り出した。それは婚姻届。
既に夫の氏名と証人の欄は埋まっていた。証人は私の両親。
透人は号泣した。すると透人はポケットから一枚の紙を取り出した。それは婚姻届。
既に夫の氏名と証人の欄は埋まっていた。証人は私の両親。
涙が溢れて手に落ちた。ほんとに泣き虫だな……私も。
私はそれを受け取ると大事に手に持った。
そのまま私と透人はこの桜のトンネルを抜けた。
そのまま私と透人はこの桜のトンネルを抜けた。
それが最後の思い出。
ゆっくりと目を閉じて笑顔でこの世を去った。
私の葬式には高校の同級生や病院の先生など多くの人が参列してくれた。もちろん楓と透人も。相変わらず透人は泣き虫で、それにつられて楓も。
婚姻届は書かなかった。もう死んでしまうかもしれない私がまだこれから長生きする透人を縛り付けることは出来ないから。
代わりに婚姻届の裏にメッセージを残して置いた。