小さなクリスマス
文字数 1,216文字
12月25日。外の世界ではクリスマスが行われてる。
でも、病院の中にももちろんクリスマスはある。
このクリスマスのイベントに備えて私はウィッグを被っていた。
そして私はまだ慣れない車椅子を動かして廊下に出た。
クリスマス用に装飾された廊下を駆けてきたのは楓。楓はサンタの帽子を頭に被っていた。
その横にはトナカイの着ぐるみを着た透人君がいる。
病院のクリスマスイベントの参加条件にクリスマスに関する仮装をすることってあったからかな。でも、クリスマスイベントはもちろん小さな子供用のイベントなんだけど。
透人は少し照れくさそうに頬を赤く染めながらそう言った。
楓はそう言うと私の乗る車椅子を押して、そのまま病室の中へ。
楓にされるがまま、私は楓の持ってきた衣装を着た。
楓は笑顔でそう言うと私の車椅子を押して病室を出た。
透人は私の格好を見て驚きの表情を見せた。
楓はそう言いながら透人君の後ろへ回り、背中を押した。
そして私に頑張れとジェスチャーしてそのまま去っていった。
私は透人に車椅子を押されて、病院のエントランスへ向かった。
サンタさんが、トナカイに押されて進むなんて、逆だよね。
透人に言われて指差した方向を見た。
2m程しかないクリスマスツリーがそこにはあった。 クリスマスツリーには色んな装飾がされていて、とても色鮮やかで綺麗だった。
周りには病院に入院してる子供がたくさん集まっている。みんなサンタさんの服やトナカイのカチューシャとかを頭につけてとても楽しそうだ。
私の後ろから大好きな彼の優しい声が聞こえる。
その時、透人君は私の目の前に回り込んだ。そして私の顔を見つめた。涙で溢れそうなその瞳で私をじっとじっと見つめてる。
私は透人と指きりを交わした。守れない約束を交わした。