新たな出会い求めて。

文字数 985文字

「ねぇねぇ、美波」
「どうしたの?」
「私さSNS初めてみた!! これで素敵な殿方との出会いをってさ!!」
 楓はそう言うとスマートフォンの画面を私に見せてきた。
 その画面には中高生の間で人気のアプリ、Talkmanのプロフィール画面。
アイコン画像には黒猫の可愛らしいイラストが使われている。
「そうだ!! 美波もやってみなよ!!」
「私は……大丈夫だよ……」
 だって、好きな人が出来たら死ぬのが怖くなる。
「ちょっとかーして!!」
 楓はそう言うと机の上に置いてあった私のスマートフォンを勝手に使って、Talkmanのアプリをダウンロードした。
「もう……楓は」
「まあまあ。ちょっとやってみてよ。案外楽しいかもよ!!」
 楓はキラキラとした目をこちらに向けてくる。私は仕方無くTalkmanを起動し、プロフィール登録画面までタッチしていった。

 この手のアプリは一応現役女子高生の私には簡単ですぐにプロフィールを作り終えた。アイコン画像は無料で使える画像の中にあった羊のアイコンを使うことにした。
「一応出来たけど」
 私はそう言って楓にスマートフォンの画面を見せた。
「んん。プロフィールに白血病のこと書いちゃったの?」
 楓は不満そうな顔を私に向ける。
「うん」
「でもでも、そしたら男の子寄ってこないかもよ!!」
 楓はそう言って私に顔を近づけてくる。
「いいの!! 私は」
 私はそう言うと楓のおでこにデコピンをした。
「いてっ、相変わらず美波のデコピンは強いなぁ」
 楓はおでこをスリスリと手で擦る。
「ふふふ」
 この日私は久しぶりに笑った。


 楽しい時間はすぐに過ぎ去る。良い子はお家に帰りましょう、という市内放送が流れた。気がつけばもう五時半。
「やばい!! 私そろそろ帰らないと」
「そうだね。楓の家、門限に朝うるさいもんね」
「ごめんね、また明日ね」
 楓はそう言うと慌ただしく病室を出ていった。
 また病室に一人になった私はふと思い出したようにスマートフォンを手に取った。

 そしてTalkmanを開いた。フォロワー数は0。その時スマートフォンが振動し通知が来た。開くと貴方がフォローされましたという通知。
フォロワーの欄を開くと、楓が追加されていた。
 すぐに楓のことをフォロー。すると黒猫のアイコン画像を使っている楓から、二人だけが見れるメッセージが送られてきた。
『ありがと!!』
「暇つぶしになるかもなぁ」
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登場人物紹介

香西美波(かさいみなみ)

白血病の女子高生。

Talkmanのアイコン画像は羊。

小南透人(こなみゆきと)

病気の高校生

Talkmanのアイコン画像はロボット。

秋谷楓(あきたにかえで)

主人公(香西美波)の親友。

Talkmanのアイコン画像は黒猫。

阿達先生

主人公の担当医。

長澤

主人公が入院している病院のナース。

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