6.5・愛しい恋人(3)

文字数 1,070文字

 優しいキスと共にゆっくりと指を動かされ、悠は蓮にしがみついた。
「んんッ……」
「中に入れていい?」
 確認してくれるのは嬉しいが、悠は恥ずかしさに顔を赤らめる。
 こくりと頷けば彼の指が中に。
 
 蓮の綺麗な手が好き。
 あの綺麗な指先が自分の中に入っていると思うと熱が上がってしまう。
「蓮……好き」
「大好きだよ」
 垂れ目の彼が目を細め優しい笑みを浮かべる。
 全身で大好きと言っているようで、心が跳ねた。
 彼は簡単に先には進まない。注意深く悠を観察し、良いところを攻めていく。

──付き合う前はこんな人だとは思わなかったな。
 いきなり”突く突かれの仲”とかわけのわからないこと言うし。

 その割にはキスはおろか、手も握ってこない。
 清い交際を通りこして、冗談かと思ったほどだ。
 
──それなのに、泣くほど好きなんて!
 あの日のことを思い出す度、萌える。
 可愛すぎるの!

「悠……? 指、折れそうなんだけど」
 心の中で悶絶していると、困った顔の彼。
「そんなに締め付けないでよ」
と涙目だ。
 悠は両腕を広げ蓮に、
「来て」
と言うが、
「もぎ取られそう……」
と困惑している。
 だが悠は、
「大丈夫。蓮のは丈夫だから」
と彼にウインクして見せた。

「なんか、全然大丈夫そうじゃないんだけど?」
 ”つべこべ言わないの!”と悠は彼の頬を撫でる。
「蓮は繋がりたくないの?」
 首を傾げてそう問えば、彼が悠の入り口に自分自身を宛がう。
 いつの間に準備したの? と思いつつも、求められるままに口づけを交わす。
「痛くない?」
「うん。蓮は?」
「……それ、聞くの」
「丈夫だから平気?」
 悠の問いに両手で顔を覆い笑っている。
「もう、なによー」
「悠が締め付けなければ、平気」
と、笑っていた彼がぎゅっと抱きしめてくれた。

 初めての日から、何度身体を重ねただろう。
 彼はいつでも愛を刻み、熱を分けてくれる。
 求めれば、求めるままに。
 その度、好きが加速する。

 初めての恋人だから、これ以上もこれ以下も知らない。
 彼が自分の全て。
 この先もずっと彼だけで良いと思えるほどに、蓮の愛に溺れている。
 
「んんッ……」
 奥をツンツンされる度、声が漏れる。
 蓮は自分の欲望に素直というよりは、悠のためと感じてしまうほどゆっくりと動く。もっと勝手気ままでもいいのにとは思うが、それが彼の気持ちなら尊重してあげたい。
 傷つきやすい人だから。
 そのままを肯定してあげたい。
 願わくば、彼がいつもそばで笑ってくれたらいい。
「悠……」
「うん?」
「いいの?」
「凄く」
 ”そっか”と嬉しそうな顔をする彼を悠はぎゅっと抱きしめた。
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