6.5・愛しい恋人(1)
文字数 1,264文字
「悠が好き。とても」
彼の手は悠の背中を滑る。
悠はそのサラサラの髪をいい子いい子するように優しく撫でた。
二人の情事の始まりはいつだって柔らかくて優しい。
ドラマのような激しいものにも憧れはするが、優しい彼のゆっくりとした手の動きは愛しさを表しているようで、うっとりとする。
やがて両腰に手が添えられ、膝立ちをしていた悠は蓮に引き寄せられ強く抱きしめられた。
首筋に這う舌にくすぐったさを感じながら、彼の背中に腕を回す。
ルームウエアに滑り込んだ彼の手が、肩甲骨の辺りで止まる。
「してないの?」
と彼。
「うん。ヤだった?」
と問えば、
「してないのに……俺」
と顔を赤らめる。
そんなことで恥ずかしがるなんてと思いながら悠は、
「いつもと違った?」
と聞くと、
「柔らかかった」
と小さな声。
「こっち見てよ、蓮」
悠の肩に顔を埋めていた彼が顔を上げる。
その頬を両手で包み込むと、
「蓮って童顔よねえ」
と言って口づけた。
蓮は興奮していても顔には出ない。
穏やかなその目が、じっと悠を捉えるだけ。
だが、貌に出ないからこそ厭らしく感じたりもする。
何度も口づけを交わし、彼にしがみつけば耳を甘噛みされた。
「んッ……」
「悠、耳弱いよね」
嬉しそうに笑う彼が愛しい。
そのまま押し倒され、わき腹を撫でられた。
早く彼と繋がりたいと望む自分は、はしたないのだろうか?
「悠の全てを独り占めしたいなって思うんだ、いつも」
彼の切ない吐露。
「独り占め、できてないの? こんなに一緒にいるのに」
ヤキモチ妬きなのは知っている。
なるべく一緒にいたがるのも。
会社ではそんな様子は見せないが。
「もっと欲しい」
彼の手は直に胸のふくらみに触れた。
感触を確かめるように優しく揉みしだかれ、悠は切ない声をあげる。
「俺を悠でいっぱいにしてよ」
彼は甘えるように悠の鎖骨に口づけ、膨らみに顔を埋めた。
「いくらでもあげるわよ?」
恋は人を馬鹿にする。
愛しい恋人を誰にも触れさせたくないと思わせるほどに。
「愛してるよ、悠」
蓮は悠の左手を取ると、ステディリングのはまった薬指の付け根に口づけをした。
悠にとっては初めての恋人だが、きっとこのまま結婚をして幸せな未来を送るのだろうと思う。蓮以外の人の隣にいる自分など、想像がつかない。
いつの間にかルームウエアの前が開けられていて、肌が露になっていた。
シャツを脱ぐ彼を眺めながら、引き締まったその身体にうっとりする。
「なに? そんなに見つめて。照れるよ」
と、彼。
シャツを取り払った彼の肌に指先で触れると、
「蓮って見た目に寄らず、筋肉質だよね」
と笑う。
「それはまあ、鍛えてるし」
「わたしもジム行こうかなー? 蓮と一緒に」
いい提案だと思ったのだが、
「それはダメ」
と言われてしまう。
「悠は充分スタイルがいいでしょ?」
「とか言って、浮気してたりして」
と冗談を言えば、彼は泣きそうな顔をする。
「俺、信用ない?」
「んーッ。違うの」
繊細な彼は傷つきやすい。余計なことを言ってしまったなと思いながら、悠は彼を抱きしめたのだった。
彼の手は悠の背中を滑る。
悠はそのサラサラの髪をいい子いい子するように優しく撫でた。
二人の情事の始まりはいつだって柔らかくて優しい。
ドラマのような激しいものにも憧れはするが、優しい彼のゆっくりとした手の動きは愛しさを表しているようで、うっとりとする。
やがて両腰に手が添えられ、膝立ちをしていた悠は蓮に引き寄せられ強く抱きしめられた。
首筋に這う舌にくすぐったさを感じながら、彼の背中に腕を回す。
ルームウエアに滑り込んだ彼の手が、肩甲骨の辺りで止まる。
「してないの?」
と彼。
「うん。ヤだった?」
と問えば、
「してないのに……俺」
と顔を赤らめる。
そんなことで恥ずかしがるなんてと思いながら悠は、
「いつもと違った?」
と聞くと、
「柔らかかった」
と小さな声。
「こっち見てよ、蓮」
悠の肩に顔を埋めていた彼が顔を上げる。
その頬を両手で包み込むと、
「蓮って童顔よねえ」
と言って口づけた。
蓮は興奮していても顔には出ない。
穏やかなその目が、じっと悠を捉えるだけ。
だが、貌に出ないからこそ厭らしく感じたりもする。
何度も口づけを交わし、彼にしがみつけば耳を甘噛みされた。
「んッ……」
「悠、耳弱いよね」
嬉しそうに笑う彼が愛しい。
そのまま押し倒され、わき腹を撫でられた。
早く彼と繋がりたいと望む自分は、はしたないのだろうか?
「悠の全てを独り占めしたいなって思うんだ、いつも」
彼の切ない吐露。
「独り占め、できてないの? こんなに一緒にいるのに」
ヤキモチ妬きなのは知っている。
なるべく一緒にいたがるのも。
会社ではそんな様子は見せないが。
「もっと欲しい」
彼の手は直に胸のふくらみに触れた。
感触を確かめるように優しく揉みしだかれ、悠は切ない声をあげる。
「俺を悠でいっぱいにしてよ」
彼は甘えるように悠の鎖骨に口づけ、膨らみに顔を埋めた。
「いくらでもあげるわよ?」
恋は人を馬鹿にする。
愛しい恋人を誰にも触れさせたくないと思わせるほどに。
「愛してるよ、悠」
蓮は悠の左手を取ると、ステディリングのはまった薬指の付け根に口づけをした。
悠にとっては初めての恋人だが、きっとこのまま結婚をして幸せな未来を送るのだろうと思う。蓮以外の人の隣にいる自分など、想像がつかない。
いつの間にかルームウエアの前が開けられていて、肌が露になっていた。
シャツを脱ぐ彼を眺めながら、引き締まったその身体にうっとりする。
「なに? そんなに見つめて。照れるよ」
と、彼。
シャツを取り払った彼の肌に指先で触れると、
「蓮って見た目に寄らず、筋肉質だよね」
と笑う。
「それはまあ、鍛えてるし」
「わたしもジム行こうかなー? 蓮と一緒に」
いい提案だと思ったのだが、
「それはダメ」
と言われてしまう。
「悠は充分スタイルがいいでしょ?」
「とか言って、浮気してたりして」
と冗談を言えば、彼は泣きそうな顔をする。
「俺、信用ない?」
「んーッ。違うの」
繊細な彼は傷つきやすい。余計なことを言ってしまったなと思いながら、悠は彼を抱きしめたのだった。
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