イメージの世界

文字数 806文字

おい、ところで恋って何なんだ?
手紙を書いたり、その人のことをいつも想っていたり…

電話をかける時は無上の喜びがあって…

自分が解放されるような状態になる。


ひとりでいる時、常にその人のことが頭にある。

だから自分で自分を縛り付けていることになる。

その人への手紙や電話、その人に向けて何かする時、

自分が解放される思いがする…

そんな時間が、恋してる、って時間であり、状態さ。

ひとり芝居かい?
まぁ、そういうことになるな。

でもこれは人間関係、みんなそうなんだ。

私は今お前と話している。

でも本当に私はお前と話をしているのだろうか?


私はお前を知っていると思っている。

私の中にお前のイメージがある。

お前はこういうことを言うだろう、こういうことをするだろう、というイメージがある。

私はお前に対している。

それは今私の目の前にいるお前にではなく、私の頭の中のお前のような気がするのだ。


だってお前はすぐそこにいるのに、とても遠い存在に思える時があるからだ…

私のお前への思いが強ければ強いほど、距離がどんどん生じていく──

僕は僕でここにいる。

君は君でそこにいる。

これは事実だろう? まず、なけりゃ、こんなフキダシのケムリも立たない。


だが僕の中にいる君、君の中にいる僕も、ある。

それは目の前にいて、こうして関係している君と僕とは違う、ということかい…

そういうこと。

私たちは一体誰と関係していることになるだろう?


だから相手に「わかってもらおう」としたり、「私はこうだよ」と相手に自分を訴えたりする…

恋は、その最たるものだ。

その原動力は、「君が好き」。推進力は、その「好き」というわけのわからないエネルギーだ。


そして「わかってもらった」ところで、どうなるものでもない…

いや、つきあいが始まるだろう?
誰とつきあうことになるのだろう?

ずっと、「私」の中の「君」であるかもしれない…

君はそこにいるのに!

私は、そこにいる君とはつきあっていないのかもしれない…

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