Sweet Box

文字数 479文字

── お前は「完璧主義」といわれたこともあったな。

いわれるまで、気づかなかった。

その「完璧」… お前が求め、やろうとしていた「完璧」とは何だったのかね?
── 身体が不自由になれば、あたかも以前は自由だったように思えるだろう。

頭の中に霞がかかり、ぼんやりとしか物事が考えられなくなれば、以前は鮮明だったと思えるだろう。


今がすべてなんだ。

いろんな過去を思い出し、いろんな未来が今お前の中を飛び交っているとしても。

── 今お前はそういう状態なんだね…

身体にガタが来て、以前はこうではなかった。

もう「以前」に戻れない。

この先も、あまり芳しくないように思えている。

そうなると、もう希望もなく見えるね。

今も、先も。

思い出すのは、悪いことばかりだ。

そして気力が無くなっていく。

目的がない。

生き甲斐、とでもいうようなものが。


執拗な暑さだけのせいではない。

体力の低下、気力の疲弊…

こういう時は、くたばってるんだ。

休ませるんだ、身体を。

そのうち、また時間が来るさ。

起きる時が。


時計じゃなくて。


それまで、くたばってるんだ。

何も、わるいことじゃない。


善悪なんかの「わる」じゃなくて。

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