第21話

文字数 1,197文字

ぼくの睡眠機能は割りと正常なところもあって、一晩徹夜でもしようものなら、次の日の夕方には眠くて仕方がなくなり、寝落ちの状態になることも珍しくはない。

それでも、規則正しい睡眠生活を送っているかというとそうでもなくて、仕事で疲れた日など、10時ぐらいに寝て、1時頃目が覚め、そこから3時か4時まで起きている、という日もある。

起きて何をするかはその時々だが、勉強したり本を読んだり川柳を作ったり風呂に入ったりと、割りとその時間も大事だったりする。

でも睡眠としては不規則だ。

ごくたまに、一晩眠れない時もある。興奮しすぎて眠れない時で、こういう時には眠剤を飲んでも統合失調症の薬を余計に飲んでも眠れなくて、次の日仕事でもあろうものなら、ふわふわと宙に浮かんでいるような気持ちで仕事していたりする。

それでも、その日の晩には大体眠れるので、そこまで不眠で悩んでいるわけでもなく、逆にそういう事があったあとの休日などに、変に睡眠負債の事など考えて、丸一日とか二日間寝まくって、寝すぎて月曜日の朝が辛くなることなんかが生じやすい。

そう滅多にあることではないが、興奮しすぎるとまったく眠れなくなることと、睡眠負債を気にして休日に十八時間ぐらい寝てしまったりすることが、ぼくの睡眠の問題点だと思う。

若い頃は、この眠れるということがどれほどの恩恵かが分かってはいなかった。ぼくの眠りの力は強い。それは統合失調症を持つぼくにとって大きな強みであり、と同時に、使い方を誤ればぼくの、ただでさえ停滞しがちな人生を、足止めする要因の一つになるかもしれない。

使い方を間違えれば、だが。

だからぼくの場合はあまり睡眠負債について気にするのはやめようと思う。心地良い眠気を意識に上らせる、という極上の快楽は、統合失調症からの回復過程でもあるらしい。そういう肉体的な感覚の回復が鍵だと昔、本で読んだ事がある気がする。

ぼくは今、障害者支援の仕事で働いている。介護福祉士の資格も取ったことだし、この方面で残りの人生をやりくりしていく事になるのかなぁと思っている。障害のある方と交わる事を、ぼくは割りと楽しんでいるような気がする。はっとするような思いになることもある。この上なく愉快な気持ちになることもある。その逆に、生活介護という仕事のハードさを感じさせられる事もあるが。

昔は良く、人相手の仕事か、それともモノ相手の仕事か、なんてことを考えた。

人相手の仕事は一筋縄ではいかない。そこに面白さを見出すかどうか。モノ相手の仕事の、素直さ、に憧れる部分もあるが。

ぼくは、整理する仕事は好きだし、得意分野だと思う。人相手の場合、どうしても想像上の事で動かなければならない場合も出てくる。それがぼくのようなにんげんには特に難しいのだ。

それでも、ギッコンバッタン言わせながらなんとか週4日で仕事をしている。今の生活が成り立つのは、全く妻のおかげである。

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