第7話

文字数 547文字

自閉症で、てくてくてくてく歩き回られる利用者さまがいる。

タブレット片手に一日何時間でも歩かれる。

最近はおさまってきたのだが、一年前は衝動があってテレビを破壊したりされたので、また、突如走り出される事があるので、誰かがついていて同じようにてくてく歩いて、見守る事になっている。

その利用者さま、タブレットの利用時間に制限を設けさせていただいており、デジタルのタイマーで管理している。

そのデジタルのタイマーは、ご本人も理解出来ておられる。

そのデジタルタイマーを、ぼくに渡そうとしたとき、床に落ち、その百均で買った安物のデジタルタイマーは、バラバラに壊れた。

ぼくはそのバラバラの残骸を、正職のHさんの机に置いておいた。

今日の仕事はイライラすることがあって、イライラする数時間のあと、てくてく歩き回られる利用者さまの横で少しイライラしていたぼくのところに、Hさんがやってきた。

「なんですか?」

少しつっけんどんに聞いたぼく。Hさんはにこにこと掌を開いた。そこには、完璧に修復されたデジタルタイマーがあった。

「凄い!Hさん、ダ○ソーに転職したらどうですか?!」

「いやぁ、ボク、こないだ、壊れたレコードも直したんですよ」

「お金稼げますね!副業ですね!」

古物の知識も豊富なHさん、職場の、そして百均の、神である。
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