文字数 381文字



数日前は太陽に水分も魂も
全部持っていかれかけたのに
昨日あたりから気分屋の太陽は
かくれんぼがマイブームのらしい
出し切った熱を
手当たり次第取り戻すから
ちまたの服が一気に
秋めいて色がおとなしくなってる
そうなると汗臭かった街は
何処か自由に呼吸してるようで
少し湿った空気も
今日は嫌じゃない気がする
あんなに邪魔だったマスクも
冷えた空気から温もりをとどめて
マフラーを忘れた顔周りが
心地いい温もりを湛える
今日はあの人も僕も
あの暑い日と同じくらいの
近さにいるはずなのに
心の奥の熱さだけあの場所に
置いてきてしまったらしい
またいつか取りに戻るよ
でも熱さだけは重なり合うから
きっと手に負えないほどの
熱を帯びて僕らを待っているのだろう
また焦がれた気持ちを
ぶつけ合いながら僕らは
また強くなっていく
今日の冷え切ったこの空気を
忘れてしまうほどの
たぎる思いをまた迎えに行こう
僕らの大切なあの場所へ
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