宇宙人が落とした靴

お題「宇宙人が落とした靴」
・お題に沿った書き下ろし完結作品であること
・ジャンル「SF」or「歴史」

目指せ、世界一！

　俺は100m競争の県代表。今から全国大会で猛者どもと戦う。しかし、全国レベルにはどうやったってかなわない。だからムシャクシャしていた。

「ええい、くそっ！」

　飲み干した空のペットボトルを月に向かって投げた……と思ったら、間違って新しい方を投げてしまった。

　あ、しまった～。

　だけど、月になんて届くわけないし、地面に落ちてスポドリ1本無駄にするくらいだ。ま、いっか～。

　ゴォォン！！

　空中で変な音がしてペットボトルが消えた。そして何かが落ちてきた。拾いにいくと靴。

　どーゆーこと？

　ふと空を見るとメロンパン型の宇宙船が月に向かって飛んでいく。
　宇宙人の落とし物？

　そうとわかれば楽しみしかない。早速その靴を履いてみた。すると、

　１歩歩くとスイーーーーー！
　２歩、３歩歩くとスイーーーースイーーーー！
　ものすごく速く歩ける。しかし地面から足は離せない。だから走れない。そう、これはムーンウォーク専用の靴だった。

　全国大会では100mを5秒で走り(歩き)ぶっちぎりで世界新記録。これでオリンピックに出られるぞ！　と思ったが失格。やはり後ろ向きはダメだそうだ。

　その後、月に向かって何度か靴を投げたがペットボトルが返ってくることはなかった。