『うらめし屋』オールスターズ集結 -3-
文字数 1,349文字
男性陣で最も彼女たちのテンションに近い森が俺に顔を向けて言う。
「オレはドジだから最初の頃は仕事にならなくて、こうやって集まったときに弱音吐いたら、橋本さんや虎尾さんがすぐ助けてくれたんすよ。遠藤さんも無理強いはしなくて、オレでもやってけるように気を使ってくれたんす。だから、磐田さんも遠慮はいらないっすよ!」
「本当よ~。助けてくださーい! って大泣きしてすごかったんだからあ~」
「虎尾さん! 話盛らないでください! そんなこと言ってないし泣いてもないでしょ!」
「あら、そうだったかしらね~」
とぼけて森をいじる虎尾。まるでスーパーで働くお局とバイトの学生みたいな関係だ。みんな個性的だが、誰も険悪にならずにまとまりがあるように感じた。そんな中、一言も発さない佐竹。こういう人は現世では毛嫌いされそうなタイプなのに、馴染めてるんだろうか。
「佐竹さん助けて~!」
あろうことか、この中で一番頼りなさそうな佐竹に泣きつく森。佐竹は相変わらず無言だが、森の背中をポンポン叩いている。
「ま~た佐竹さんにすり寄ってるわ~。だめよ~、佐竹さんはあたしの味方だもんね~? いつもあたしの話を、あたしが気が済むまで黙って聞いてくれるんだもの~」
それはあなたが一方的に喋ってるだけなのでは……。あの弾丸トークの前では言葉を返すタイミングなんてないんだから、佐竹のような口数が少ない人ならなおさら聞き手に回る他ないだろう。だが、それも含めて歯車が合っている。ひとしきり笑った後、遠藤が話を戻す。
「皆さん、変わらずお元気で安心しました。どなたか、何か共有したいことや希望はありますか」
すると、森が手を挙げた。
「この前から新しく担当してる公園の案件なんすけど……。すんません、ぶっちゃけ厳しいっす」
申し訳なさそうな表情で言った。『公園の案件』が何なのかは分からないが、快活な森の表情を曇らすほどの仕事内容なのか……?
「確か、亡くなった高校生の男の子と小学生の女の子が、霊界に来ないで現世のどこだったかの公園に留まっちゃってるんだったよね? 二人に死んだことを理解させるのに苦労してるとか?」
橋本が尋ねる。どうやら、子供絡みの案件らしい。大人の俺ですら、初めて霊界に来たときは戸惑ったんだ。ましてや子供なら、理解しろと言われても難しいだろうし、信じられないだろう。俺は気づいたら霊界にいたのに、なんでその子たちが現世に留まったままなのかは分からないが……。
「いや、死んだことは分かってるんすよ、少なくとも男子の方は。そうじゃなくて、高校生のくせにオレより大人びてるっていうか、しっかりしてるっていうか……。とにかく厳しいっす」
どうも要領を得ない。何か問題が発生しているんだろうが、何が『厳しい』のか全くもって分からない。遠藤も同じ考えのようで、困ったような表情をしている。
「まず、状況を確認する必要がありそうですね。橋本さん、協力をお願いしてもよろしいですか」
「もちろんです! 森君、次に行くときは私も付いていくね」
「マジ助かります!」
頼れるリーダー、橋本が指名された。ただ、名前を呼ばれたのは彼女だけではなかった。
「それと、磐田さんにも一緒に行っていただきたいんですが、どうでしょうか」
まさかの俺が呼ばれた。
「オレはドジだから最初の頃は仕事にならなくて、こうやって集まったときに弱音吐いたら、橋本さんや虎尾さんがすぐ助けてくれたんすよ。遠藤さんも無理強いはしなくて、オレでもやってけるように気を使ってくれたんす。だから、磐田さんも遠慮はいらないっすよ!」
「本当よ~。助けてくださーい! って大泣きしてすごかったんだからあ~」
「虎尾さん! 話盛らないでください! そんなこと言ってないし泣いてもないでしょ!」
「あら、そうだったかしらね~」
とぼけて森をいじる虎尾。まるでスーパーで働くお局とバイトの学生みたいな関係だ。みんな個性的だが、誰も険悪にならずにまとまりがあるように感じた。そんな中、一言も発さない佐竹。こういう人は現世では毛嫌いされそうなタイプなのに、馴染めてるんだろうか。
「佐竹さん助けて~!」
あろうことか、この中で一番頼りなさそうな佐竹に泣きつく森。佐竹は相変わらず無言だが、森の背中をポンポン叩いている。
「ま~た佐竹さんにすり寄ってるわ~。だめよ~、佐竹さんはあたしの味方だもんね~? いつもあたしの話を、あたしが気が済むまで黙って聞いてくれるんだもの~」
それはあなたが一方的に喋ってるだけなのでは……。あの弾丸トークの前では言葉を返すタイミングなんてないんだから、佐竹のような口数が少ない人ならなおさら聞き手に回る他ないだろう。だが、それも含めて歯車が合っている。ひとしきり笑った後、遠藤が話を戻す。
「皆さん、変わらずお元気で安心しました。どなたか、何か共有したいことや希望はありますか」
すると、森が手を挙げた。
「この前から新しく担当してる公園の案件なんすけど……。すんません、ぶっちゃけ厳しいっす」
申し訳なさそうな表情で言った。『公園の案件』が何なのかは分からないが、快活な森の表情を曇らすほどの仕事内容なのか……?
「確か、亡くなった高校生の男の子と小学生の女の子が、霊界に来ないで現世のどこだったかの公園に留まっちゃってるんだったよね? 二人に死んだことを理解させるのに苦労してるとか?」
橋本が尋ねる。どうやら、子供絡みの案件らしい。大人の俺ですら、初めて霊界に来たときは戸惑ったんだ。ましてや子供なら、理解しろと言われても難しいだろうし、信じられないだろう。俺は気づいたら霊界にいたのに、なんでその子たちが現世に留まったままなのかは分からないが……。
「いや、死んだことは分かってるんすよ、少なくとも男子の方は。そうじゃなくて、高校生のくせにオレより大人びてるっていうか、しっかりしてるっていうか……。とにかく厳しいっす」
どうも要領を得ない。何か問題が発生しているんだろうが、何が『厳しい』のか全くもって分からない。遠藤も同じ考えのようで、困ったような表情をしている。
「まず、状況を確認する必要がありそうですね。橋本さん、協力をお願いしてもよろしいですか」
「もちろんです! 森君、次に行くときは私も付いていくね」
「マジ助かります!」
頼れるリーダー、橋本が指名された。ただ、名前を呼ばれたのは彼女だけではなかった。
「それと、磐田さんにも一緒に行っていただきたいんですが、どうでしょうか」
まさかの俺が呼ばれた。