第14話 ベトナム料理ブンボーフエ
文字数 1,868文字
ベトナム料理といえばフォー。そのくらいの知識しかない状態でベトナム屋台っぽい店を訪れた。出入り口に扉がないので道端からスッと入り、ステンレステーブルの周りにポンポンと置かれた軽いプラスチックの背なし椅子に座る……。っと、席を決める前に注文と会計を済ませるシステムだったようだ。食べるものを決めて前払いし、決められた席に座る、と。
レジの前に立ち、店員さんと向かい合う。インドカレー店は男性店員のみだったけれど、メキシカンな店、タイ料理レストラン、この店は料理長が男性でウエイターは女性という構成だ。だからどうだってんだと言うなかれ。
ともかく、レジ横のメニュー表を見つめ、今食べたいものを探す。まぁ、フォーを食べるつもりで来ているので、あとは鶏肉か牛肉かの選択だ。……と、ここで思わぬダークホースの登場。
「この、ブンボーフエって何ですか」
「辛イヨ。肉は豚で、チョト辛イ」
「めっちゃ辛いわけではない?」
「チョトね」
フォーの辛いVerかな。写真では赤いスープに豚肉、もやしっぽいのとパクチーかミントが乗っている。フォーはまた今度にして、今日はチョト辛いスープにしてみようかな。チョトっていう言い方がなんかファニーで移ってしまった。
ブンボーフエの代金を前払いして、指示された席に座る。この時間の客がまばらだからか、カウンターではなくステンレステーブルに座ることとなった。プラスチック背なし椅子に座るとチョト凹んでビビる。でも屋台っぽくて面白い。異国情緒いただきやしたー。
店内には4台のステンレステーブルと長めのカウンター、詰め詰めなら客を25人は収容できそうだ。BGMは聴いたことのないポップスだった。ベトナムで有名な曲なのかな。
テーブルの上のナンプラーや瓶詰めの何やらをみて過ごす。瓶詰めされているのはニンニクと唐辛子か?
「すいません、これ何ですか」
「それ、ニンニク」
ニンニクの輪切りをどの場面で使うのだろう。まさかフォーに入れるわけでもあるまいし、いや、ラーメンだってニンニクを入れたら美味いじゃないか。ブンボーフエってのに入れたら……このあと仕事に戻るからダメだワ。
「お待たせっしましたァ」
「コレ、もっと辛くする時に使うヨ」
そう言ってウエイターさんは、サラダセットの中に何食わぬ顔で存在する真っ赤なかたまりを指差した。うーん、見た目がもう辛い、そんなかたまりだ。
さて昼食、昼食。まずはスープをゴックンと飲む。
……草原だ。僕は今、想像の世界にいて、草原に佇んでいる。緑豊かな大地の上でちょっと蒸した空気を吸っている。丘の向こうから羊飼いがやって来て羊とともに通り過ぎて行く。見上げた空は見事な蒼一色で……。
というような味だった。少し辛くて、それがまた良い。
ブンボーフエは「フエ」の地発祥で、「ブン」は米麺、「ボー」は牛肉のこと。しかし目の前のブンボーフエに入っている肉はハムっぽい。食べてみよう……豚、だと思うけど。ウェブ検索して調べると、ベトナムハムが入っている場合もあるそうな。僕の舌がバカ舌なら、実は牛肉の可能性もあるかもなぁ。
麺はもっちりで独特な味、少し太め。別皿のもやしとパクチーをスープにどんどん投入する。スープが旨辛いから、もやしもパクチーも味を吸収して美味くなるのでは説。
箸でパクチーをつかんでパクッと喰らう。おお、おお。パクチーはやっぱパクチー味だ。この妙ちくりんでクセになる味、良き。辛いスープと合ってる。
よし、では別皿の中で所在なげにしている「辛くする時使う」ヤツを投入だ。一気にスープに入れてかき混ぜる。そしてスプーンで掬って口へ。これは良き良き。味変、成功だ。さらに辛くなった分、食欲が止まらんくなる。むせる。辛ッ! 体、熱ッ!
バクバク、パクパク食べ進める。辛くて体がどんどん熱くなり、額から噴き出した汗が少しスープに落ちた。テーブル備え付けのティッシュで汗を拭く。多分そういう使い方じゃないんだろうけど、汗が止まらないんだ許してつかぁさい。
もっちり麺に多分ハム、パクチー、玉ねぎ、ねぎ、もやし。あっという間に食べ終わり、スープをゴクゴク。あ、こんなに飲んだら腹チャポだぜぃ。と思った頃には丼の中は空っぽで。ごちそうさまでした。
もう代金は支払い済みのため、スッと店を出た。そして振り返り、立て看板のメニューを見る。ベトナムサンドイッチであるバンミーがウマそうで、しかも安い。次はコレかな、なんて考えながら汗だくで道を歩き始めた。
【本日の出費】
ベトナム料理ブンボーフエ
950円
レジの前に立ち、店員さんと向かい合う。インドカレー店は男性店員のみだったけれど、メキシカンな店、タイ料理レストラン、この店は料理長が男性でウエイターは女性という構成だ。だからどうだってんだと言うなかれ。
ともかく、レジ横のメニュー表を見つめ、今食べたいものを探す。まぁ、フォーを食べるつもりで来ているので、あとは鶏肉か牛肉かの選択だ。……と、ここで思わぬダークホースの登場。
「この、ブンボーフエって何ですか」
「辛イヨ。肉は豚で、チョト辛イ」
「めっちゃ辛いわけではない?」
「チョトね」
フォーの辛いVerかな。写真では赤いスープに豚肉、もやしっぽいのとパクチーかミントが乗っている。フォーはまた今度にして、今日はチョト辛いスープにしてみようかな。チョトっていう言い方がなんかファニーで移ってしまった。
ブンボーフエの代金を前払いして、指示された席に座る。この時間の客がまばらだからか、カウンターではなくステンレステーブルに座ることとなった。プラスチック背なし椅子に座るとチョト凹んでビビる。でも屋台っぽくて面白い。異国情緒いただきやしたー。
店内には4台のステンレステーブルと長めのカウンター、詰め詰めなら客を25人は収容できそうだ。BGMは聴いたことのないポップスだった。ベトナムで有名な曲なのかな。
テーブルの上のナンプラーや瓶詰めの何やらをみて過ごす。瓶詰めされているのはニンニクと唐辛子か?
「すいません、これ何ですか」
「それ、ニンニク」
ニンニクの輪切りをどの場面で使うのだろう。まさかフォーに入れるわけでもあるまいし、いや、ラーメンだってニンニクを入れたら美味いじゃないか。ブンボーフエってのに入れたら……このあと仕事に戻るからダメだワ。
「お待たせっしましたァ」
「コレ、もっと辛くする時に使うヨ」
そう言ってウエイターさんは、サラダセットの中に何食わぬ顔で存在する真っ赤なかたまりを指差した。うーん、見た目がもう辛い、そんなかたまりだ。
さて昼食、昼食。まずはスープをゴックンと飲む。
……草原だ。僕は今、想像の世界にいて、草原に佇んでいる。緑豊かな大地の上でちょっと蒸した空気を吸っている。丘の向こうから羊飼いがやって来て羊とともに通り過ぎて行く。見上げた空は見事な蒼一色で……。
というような味だった。少し辛くて、それがまた良い。
ブンボーフエは「フエ」の地発祥で、「ブン」は米麺、「ボー」は牛肉のこと。しかし目の前のブンボーフエに入っている肉はハムっぽい。食べてみよう……豚、だと思うけど。ウェブ検索して調べると、ベトナムハムが入っている場合もあるそうな。僕の舌がバカ舌なら、実は牛肉の可能性もあるかもなぁ。
麺はもっちりで独特な味、少し太め。別皿のもやしとパクチーをスープにどんどん投入する。スープが旨辛いから、もやしもパクチーも味を吸収して美味くなるのでは説。
箸でパクチーをつかんでパクッと喰らう。おお、おお。パクチーはやっぱパクチー味だ。この妙ちくりんでクセになる味、良き。辛いスープと合ってる。
よし、では別皿の中で所在なげにしている「辛くする時使う」ヤツを投入だ。一気にスープに入れてかき混ぜる。そしてスプーンで掬って口へ。これは良き良き。味変、成功だ。さらに辛くなった分、食欲が止まらんくなる。むせる。辛ッ! 体、熱ッ!
バクバク、パクパク食べ進める。辛くて体がどんどん熱くなり、額から噴き出した汗が少しスープに落ちた。テーブル備え付けのティッシュで汗を拭く。多分そういう使い方じゃないんだろうけど、汗が止まらないんだ許してつかぁさい。
もっちり麺に多分ハム、パクチー、玉ねぎ、ねぎ、もやし。あっという間に食べ終わり、スープをゴクゴク。あ、こんなに飲んだら腹チャポだぜぃ。と思った頃には丼の中は空っぽで。ごちそうさまでした。
もう代金は支払い済みのため、スッと店を出た。そして振り返り、立て看板のメニューを見る。ベトナムサンドイッチであるバンミーがウマそうで、しかも安い。次はコレかな、なんて考えながら汗だくで道を歩き始めた。
【本日の出費】
ベトナム料理ブンボーフエ
950円