赤い火花

文字数 319文字

河原の水の音が
喧騒から離れた静寂の中に
バケツの中の水は濁り
ライターで火をつけると
鬱憤を晴らすかのように
静かに火種が燃えた
赤い火花は遠くまで照らし
瞬間が過ぎていく
それは自らの輝きを信じて
光を放ち続けるかのように
しばらくの間、辺りを照らし
風に吹かれて地面に落ちた
火種は静かに消えていく
新しい線香花火に
火をつけると
落ちた火種の声が聞こえた
それはどこまでも伝わっていく
ある種の叫びかもしれない
河原を通り過ぎていく人々が
時々こちらを見ているかのように
そんな視線の中を
川の水は進んでいく
移り変わる風景の中の
淀んだ風景と濁った水の流れが
空間で破裂していくかのように
暗がりの光は
ナイフのように鋭利に
刻まれていくようだ
また火種が落ちた
火花の記憶は残り続ける
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み