八月の花火

文字数 308文字

巡る花火の夜に
解放の響きが
どこまでも続いて行く
蘇る過去の夏の日は
確かに沈黙の中に存在していた
歩いてきた道は
等間隔の街灯の光に照らされている
いつの日かにじんだ涙は
鮮やかに瞳から消え去っていった
赤い火花が空に炸裂し
轟音が草木を揺らす
記憶の中のあなたの悲しみも
いつの日か溶けていけば
僕自身も救われるかもしれない
揺らいだ蝋燭の火のように
かすかな心を刺激する
今、立っている場所は
いったいどこなんだろう
消えていく火花は
何を意味しているのだろう
二つの花火が空に浮かび
弾けて消えていった
夏の終わりの涼しい風が
平原を駆けていく
いつの間にか手に持った
ビールのカップが
手の平の熱を帯びていた
最後の一口を飲み干すと
ちょうど花火大会は終わった
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み