花畑

文字数 296文字

推測と現実への理解は
赤い花が映していた風景を
裏切って過ぎていき
残された風景は
それが何かもわからず
穏やかに見える花畑には
今日も人々の視線が降り注ぐ
花畑の土壌は
暗闇の中で
孤独な思考と想像を
繰り返しているのかもしれない
午後の日差しに照らされた花は
風にゆらゆらと揺れながら
沈黙していた
土の中の無数の願いは
きっと枯れた葉かもしれない
時々、ミツバチがやってきて
花と挨拶を交わし
自由に空を飛んでいく
あまりにも風景の色が
変わっていくので
もはやそこにあったものすら
風の中に消えていく
隣にいるあの人は
煙草に火をつけたまま
花畑を眺めていた
午後の日差しはいくらか穏やかで
僕らは煙を吸い込みながら
時が経つのを待っていた
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