夏の風景

文字数 298文字

道は先に続いている
悲しい気持ちがぼんやりと
この場所を歩いていると
ひまわりが風に揺れている
流れていく風景が
夏の蜃気楼に揺れて
心を拭っていくような
失われた時間が
あなたの死の音と共に
目に涙が滲む
穏やかな風景の裏に
無数の喧騒が存在している
家々の屋根の中にある
どこにも行けない場所
破裂した感情は
小石にぶつかって消えていった
過ぎていく時の中で
あの頃のデスクが浮かんでくる
誰もいない一人の影
太陽は熱気を帯びて
雲は空を移動していく
いつか先へ向かって行く
白い鳥が羽ばたく
もう戻らない風景は
記憶の中を漂う
ただキャンディーの甘さだけが
煙草の煙のように
それに取りつかれていた
音楽のように揺らいでいく
夏が終わろうとしている
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