文字数 315文字

歩いていた道は
暗くてじめじめしていたけれど
その中に薔薇の花を見た
僕は長い間、忘れていたことを思い出した
間違ってきた気がしたが
振り返っても仕方ない
その中でも耐えてきたから
今この道を歩いているのだ
汚れた服はそのままにして
次第に雲行きが変わり
雨が降った
傘を持っていなかったので
全身で浴びた
許してくれ
たぶん僕が悪かったのかもしれない
雨は全てを洗い流していく
でも過ちの中で
確かに生きてきたのだ
僕はその時、嘘をついていたが
それでも懸命だったことは確かだ
道は静かに移り変わっていく
雨の中の泥がやけに美しく見えた
憎んだ時もあったが
今はもう先へ行くしかない
雨は降り続いた
そのまま、僕を洗い流してくれ
あの人の顔が浮かぶ
別れの日もこうして雨が降っていた
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み