夏の海

文字数 358文字

それは寂しさをまとい
夏の風が通り過ぎていく
沈黙を続けた先に
何が待っているのか知ることはない
海が遠くまで続いている
その奥に太陽が沈んでいこうとしていた
あなたはきっと懐かしさを抱え込み
海の中へと記憶と共に沈んでいく
僕はそれを眺めている
運命を思い出しながら
消えていく景色が
ずっと続いているようで
抱え込んだ思いは
オレンジ色の空に溶けていく
砂浜の感触が
今、意識に蘇る
たくさんの揺らいだ煙を吸い込みながら
熱を帯びた感情が破裂しないように
耳を傾けていた
潮風が吹いている
景色は夜に消えていこうとしていた
いったいそこに何があるのかわからないまま
海の波は繰り返し打ち寄せる
夏の光に包まれて
太陽が水平線の向こうに沈んでいった
あなたの横顔が
風と共に消えていく
目に浮かぶ涙が
風景を揺らめかせていた
記憶の中の情景が
ぼんやりと浮かんでは消えていく
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み