いつもの景色

文字数 270文字

いつもの電車に
いつもの乗客が
いない

来る日も
来る日も
居眠りしている
サラリーマンだ

どこの
誰かも
知らないが
たぶん
始発駅から
乗り込み
眠り続ける男
がいない
だけで
いつもの景色が
歪んでしまった

いることが
当たり前すぎて
いる時は
存在感はないのに
いなくなって
はじめて
存在感を示す存在こそ
僕が目指すところで
毎朝
同じ電車の
同じ車両の
同じ席に座り
居眠りするサラリーマンに
僕は少し嫉妬する

いったい
どうしたのだろう?

どこの
誰かも
知らないのに
心配している

明日は
乗っているだろうか?

今日が
始まったばかりなのに
明日を
気にしている

いつもの景色が
歪んで
僕の心も
歪んでしまったらしい
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