20号車12列A

文字数 276文字

わたしは
通路で
立ち止まる

新幹線の
予約した席に
男が座って
弁当を食べている

猛烈な
勢いで
かき込む男に
猛烈な
勢いで
怒りが芽生える

20号車
12列A

わたしは
首を傾げる

新幹線は
16号車までしか
ないはずなのに

車両番号を
確認すると
「16」と書いてある

乗車駅も
降車駅も
記載されていない
20号車
12列A

男は
わたしの
視線など
気にすることなく
漬物を避ける

 たぶん
 見えていない

男は
最後に
避けた漬物を
愛おしそうに
口に運び
緑茶を飲む

 間違いなく
 見えていない

わたしは
黙って
眺め続ける

あぁ、
 お腹が
  減った


お腹が
鳴った
その時、
目覚ましが
鳴り響く


わたしは
真っ先に
冷蔵庫を開け
漬物を
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