第19話 女神様のお……いや、これ以上は言えない。
文字数 2,316文字
「……」
だが、直ぐに答えを出すことができない。
呪いは治癒する必要がある。
しかし……。
フィリアとルインは、すごく不満そうな顔をしていた。
その表情からは明らかな嫉妬心が窺える。
仮にもし反対の立場であれば……フィリアが他の男に……いや、考えるだけで気分が悪い。
「……レミアン、騒がせたところすまないが……」
「え、えと、解呪はしない……ということでいいのですか?」
解呪神に言われて俺は頷く。
「ら、ラス……でも……」
「やばい呪いなのよね?」
俺が解呪しないと言うと、それはそれで複雑そうな二人。
だが、俺はもう他の解呪方法を探すことを決意していた。
「まぁ、なんとなるだろ」
若い頃の冒険で死に掛けたことなどいくらでもあった。
地獄を感じたことだって一度や二度じゃない。
あの時に比べれば今の状況など大したことじゃない。
「だけど……う~~~~~……!! ――ラス! やっぱり! 解呪を受けて!」
「そ、そうなのだわ!
わたしたちの我儘でラス様が苦しませたくないのよ」
二人が俺に左右から服をギュッと掴まれる。
「ごめんなさい、ラス。
あたし……自分の気持ちしか考えてなくて……」
「わたしも、ごめんなさいなのだわ。
ラス様、この堕乳女神の解呪を受けてほしいのよ」
必死な顔で二人が訴えかけてきた。
俺を心配する想いが強く伝わってくる。
「あ、あの~……と、とりあえず、掛かっている呪いについてお調べしましょうか?
呪いの詳細次第では、もしかしたら他に解呪の方法を提示できるかもしれませんから?」
答えを出しかねている俺を見て、レミアンが控えめに口を開いた。
「解呪の手段はいくつかあるのか?」
「はい。
は、肌を……ま、交わして……し、神力を伝える手段が最も効果的ですが……――まずは一度、詳細を確認してみましょう!」
解呪神が瞳を閉じる。
集中力を高めているのだろうか?
その状態で両手を胸のあたりまでた上げたレミアンが、手を俺に向けた。
すると彼女の掌が淡く光を放ち、その優しい輝きが俺を包み込んでいく。
「……レミアン、どうなの?」
窺うように尋ねるフィリア。
「……」
「なんとかなりそうなのかしら?」
首を傾げるルイン。
だが、フィリアは何も言わない。
どんな結果が出るのかと、俺たちは固唾を呑み込む。
それから、暫く様子を見守っていると、
「…………………――!?」
カッ! と、レミアンが目を見開いた。
そしてガクガクガタガタと身体を震わせて、俺たちに目を向ける。
「んっ……あぁ……か、身体が……あっ!?」
切なさの中に甘さを伴う嬌声がレミアンの口から洩れた。
辛そうに身体を抱きかかえ、唇を噛み締める。
「う、嘘……呪いを調べようとしただけなのに……の、呪いが……で、伝染しちゃったみたいで――ぅ、んんんんんんんっ!?」
しかし、堪えきれずに神界に嬌声が響いた。
情景をあまり口にすべきではないと思うが……レミアンの股から大量の雫が滴たり、地面に水たまりを作っていく。
「ふぃ、フィリア……お前の呪いは移るのか?」
「じ……実は、邪神の呪いを掛けるほど今まで追い詰められたことがなかったから……効果の詳細を全部把握できてないのよね……」
気まずそうな顔で、解呪神に目を向ける邪神。
「呪いって……移るのね……。
というか、神様がお漏らしって……」
「こ、これはお、お漏らしじゃ……あああああああああっ!? い、イっちゃう……わ、わたしまだ、イッ――んんんんんんっ!」
再び身体をガクガクと激しく揺らす。
足に力が入らないのか、身体をふらつかせたレミアン。
「おい……」
俺は慌てて駆け寄り、彼女の身体を抱き留めた。
すると、彼女はビクッ、ビクッと全身を痙攣させて……。
「もう……らめぇ……れすぅ……」
力尽きたように気絶してしまったのだ。
「……し、死んではいないみたいね」
「あ、あんたの呪いはどんだけ危ないのよ?」
呪いを掛けたフィリア自身も困惑した様子であったが、できる限りの治癒をレミアンに施して俺たちは彼女が再び目を覚ますのを待った。
※
「はうぅ……とんでもない呪いですぅ……」
目を覚ましたレミアンが今にも泣き出しそうな顔をしている。
「泣きそうな顔しないでよ。
あんたがお漏らししたことは黙っててあげるから」
「そうなのよ。
子供の頃はみんな経験しているのだわ」
生易しい瞳で、邪神と魔女がレミアンの肩をポンと叩く。
「ううううう! お、お漏らしじゃないです!」
「二人とも、あまりレミアンをからかうな」
このまま放置していたら、レミアンは羞恥心で死んでしまうかもしれない。
「レミアン、悪かったな。
もう大丈夫だから。
この呪いに関してはこっちでどうにか――」
「あぅ……ま、待ってください!
わ、わかったことだけでも、伝えさせてください」
「わかったことって……呪いの詳細を確認するとお漏らししちゃうとか言わないわよね?」
「ちちちち違います!」
「じゃあ何がわかったのよ?」
ルインに問われて、こほん……と、咳払いして気を取り直すお漏ら――いや、解呪の女神。
そして彼女は真面目な顔で俺を直視すると、
「あの呪いに現時点で有効的な解呪方法は存在しません」
この呪いが逃れられるものでないことを、俺たちに伝えるのだった。
だが、直ぐに答えを出すことができない。
呪いは治癒する必要がある。
しかし……。
フィリアとルインは、すごく不満そうな顔をしていた。
その表情からは明らかな嫉妬心が窺える。
仮にもし反対の立場であれば……フィリアが他の男に……いや、考えるだけで気分が悪い。
「……レミアン、騒がせたところすまないが……」
「え、えと、解呪はしない……ということでいいのですか?」
解呪神に言われて俺は頷く。
「ら、ラス……でも……」
「やばい呪いなのよね?」
俺が解呪しないと言うと、それはそれで複雑そうな二人。
だが、俺はもう他の解呪方法を探すことを決意していた。
「まぁ、なんとなるだろ」
若い頃の冒険で死に掛けたことなどいくらでもあった。
地獄を感じたことだって一度や二度じゃない。
あの時に比べれば今の状況など大したことじゃない。
「だけど……う~~~~~……!! ――ラス! やっぱり! 解呪を受けて!」
「そ、そうなのだわ!
わたしたちの我儘でラス様が苦しませたくないのよ」
二人が俺に左右から服をギュッと掴まれる。
「ごめんなさい、ラス。
あたし……自分の気持ちしか考えてなくて……」
「わたしも、ごめんなさいなのだわ。
ラス様、この堕乳女神の解呪を受けてほしいのよ」
必死な顔で二人が訴えかけてきた。
俺を心配する想いが強く伝わってくる。
「あ、あの~……と、とりあえず、掛かっている呪いについてお調べしましょうか?
呪いの詳細次第では、もしかしたら他に解呪の方法を提示できるかもしれませんから?」
答えを出しかねている俺を見て、レミアンが控えめに口を開いた。
「解呪の手段はいくつかあるのか?」
「はい。
は、肌を……ま、交わして……し、神力を伝える手段が最も効果的ですが……――まずは一度、詳細を確認してみましょう!」
解呪神が瞳を閉じる。
集中力を高めているのだろうか?
その状態で両手を胸のあたりまでた上げたレミアンが、手を俺に向けた。
すると彼女の掌が淡く光を放ち、その優しい輝きが俺を包み込んでいく。
「……レミアン、どうなの?」
窺うように尋ねるフィリア。
「……」
「なんとかなりそうなのかしら?」
首を傾げるルイン。
だが、フィリアは何も言わない。
どんな結果が出るのかと、俺たちは固唾を呑み込む。
それから、暫く様子を見守っていると、
「…………………――!?」
カッ! と、レミアンが目を見開いた。
そしてガクガクガタガタと身体を震わせて、俺たちに目を向ける。
「んっ……あぁ……か、身体が……あっ!?」
切なさの中に甘さを伴う嬌声がレミアンの口から洩れた。
辛そうに身体を抱きかかえ、唇を噛み締める。
「う、嘘……呪いを調べようとしただけなのに……の、呪いが……で、伝染しちゃったみたいで――ぅ、んんんんんんんっ!?」
しかし、堪えきれずに神界に嬌声が響いた。
情景をあまり口にすべきではないと思うが……レミアンの股から大量の雫が滴たり、地面に水たまりを作っていく。
「ふぃ、フィリア……お前の呪いは移るのか?」
「じ……実は、邪神の呪いを掛けるほど今まで追い詰められたことがなかったから……効果の詳細を全部把握できてないのよね……」
気まずそうな顔で、解呪神に目を向ける邪神。
「呪いって……移るのね……。
というか、神様がお漏らしって……」
「こ、これはお、お漏らしじゃ……あああああああああっ!? い、イっちゃう……わ、わたしまだ、イッ――んんんんんんっ!」
再び身体をガクガクと激しく揺らす。
足に力が入らないのか、身体をふらつかせたレミアン。
「おい……」
俺は慌てて駆け寄り、彼女の身体を抱き留めた。
すると、彼女はビクッ、ビクッと全身を痙攣させて……。
「もう……らめぇ……れすぅ……」
力尽きたように気絶してしまったのだ。
「……し、死んではいないみたいね」
「あ、あんたの呪いはどんだけ危ないのよ?」
呪いを掛けたフィリア自身も困惑した様子であったが、できる限りの治癒をレミアンに施して俺たちは彼女が再び目を覚ますのを待った。
※
「はうぅ……とんでもない呪いですぅ……」
目を覚ましたレミアンが今にも泣き出しそうな顔をしている。
「泣きそうな顔しないでよ。
あんたがお漏らししたことは黙っててあげるから」
「そうなのよ。
子供の頃はみんな経験しているのだわ」
生易しい瞳で、邪神と魔女がレミアンの肩をポンと叩く。
「ううううう! お、お漏らしじゃないです!」
「二人とも、あまりレミアンをからかうな」
このまま放置していたら、レミアンは羞恥心で死んでしまうかもしれない。
「レミアン、悪かったな。
もう大丈夫だから。
この呪いに関してはこっちでどうにか――」
「あぅ……ま、待ってください!
わ、わかったことだけでも、伝えさせてください」
「わかったことって……呪いの詳細を確認するとお漏らししちゃうとか言わないわよね?」
「ちちちち違います!」
「じゃあ何がわかったのよ?」
ルインに問われて、こほん……と、咳払いして気を取り直すお漏ら――いや、解呪の女神。
そして彼女は真面目な顔で俺を直視すると、
「あの呪いに現時点で有効的な解呪方法は存在しません」
この呪いが逃れられるものでないことを、俺たちに伝えるのだった。