第1話 旅立ちの朝
文字数 1,890文字
※
あれから一晩が経過した。
身体も随分と落ち着きを取り戻しているが……。
『現在の状態:邪神の呪いにかかっています。』
俺はベッドから身体を起こして、自分のステータスを確認した。
この状態異常は今も消えてはいない。
「はぁ……」
思わず溜め息が漏れる。
状態異常にかかることなんて、子供の時でもほぼなかったのに……。
なのによりにもよって久しぶりに掛かったのが、こんな最悪なものだなんて……。
「……ラス? どうしたのよ?」
隣で眠っていたフィリアが目を覚ました。
頭を抱える俺の様子が気になったのか、原因を作り出した邪神が尋ねてくる。
ちなみに、今の俺たちは生まれたままの姿だ。
昨日はあのまま……互いに疲れて眠ってしまったからな。
「も、もしかして、身体が辛いの?」
言ってフィリアは俺の下半身に目を向ける。
「どこを見てるんだ」
「え……あ、あ、あたしのこと……また、その……だ、抱きたくなったのかなぁ……って」
真っ赤な顔で、明らかに照れながらちらちらと俺の顔を見るフィリア。
恋愛経験の乏しい俺でもわかるくらい、その表情は恋をしている女の子の顔だった。
「っ……」
俺は思わず目を逸らす。
美の女神すらも驚愕するほど美しさと、まだ大人になりきれていない少女らしい可愛らしさ同居しているような奇跡の存在――そんな女に熱い眼差しを向けられては、正直なところこちらまで照れる。
何より、生意気だったあの邪神がすっかり従順になってしまって、少し対応にも困っていた。
「あ、あたし……ラスがしたいなら……いいよ?」
「ば、バカ!
き、昨日は一晩……あんなに……」
「でも……あたしのせいだから……」
言いながら、フィリアが俺を抱き締める。
そして、豊満な果実をギュッと俺に押し付けてきた。
一枚の布越しから感じる柔らかな感触に、くらくらしてしまう。
「……い、今は大丈夫だから、離れてくれ」
「本当?」
「ああ……」
俺が頷くと、フィリアは優しく笑って身体を離す。
これまで戦ったどんな難敵よりも遥かに、フィリアは俺を緊張させる。
「はぁ……とりあえず、着替えるか」
「あたしは別に……このままでも……」
「あのな! 裸で外に出たらただの変態だろ!」
「え? 外に出るの?」
「勿論だ。
ずっとここにいるわけには行かないだろ。
この呪いを解呪する手段も探したいからな」
「……」
しゅん。と、悲しそうな顔で黙り込むフィリア。
「ごめんね、ラス。
あたしが呪いを解いてあげられればいいんだけど……」
邪神の呪いは、掛けたフィリア自身も解けないらしい。
昨晩、情事の間にその話は聞いていた。
そもそもこの邪神は回復魔法の類いは一切使用できない、攻撃特化型なのだそうだ。
曰く、自分が強すぎて傷付いたことがなかったから……とのこと。
「……もう過ぎたことだ。
気にしなくていい」
「……」
フィリアは俺に呪いを掛けたことを深く反省していた。
そんな姿を見せられては、もう責めることはできない。
反省と成長は常なのだから。
「そうだ――あたしも一緒に行くわ!」
「え?」
「一緒に解呪の方法を探すのよ!
そう、きっとそれがいいわ!」
「本気で言ってるのか?」
「本気よ!」
「で、でも……お前邪神だよね?」
「だけどラスの奴隷よ。
だから一緒に行くの」
「……」
思わず言葉を失う。
邪神と共に冒険に出た者が、今までの歴史でどれほどいただろうか?
「それにね、ラス。
もし……もしよ。
一人で冒険に出てしまって……その場で呪いの効果が出ちゃったら、どうするの?」
「っ……そ、それは、確かに困るな……」
発散しなければ、俺は最悪死ぬことになる。
かといって、見掛けた女の子を襲うなど言語道断だ。
「だったら……あたしが傍にいるのが一番よ!」
そう言ってフィリアは満面の笑みを向けた。
さらに続けて、
「それに、あたしはあんたと一緒にいたいの。
だって、ら、ラスのこと……――」
「――わ、わかった。
一緒に来てくれ」
フィリアの言葉を遮るように、俺は慌てて口を開いた。
「本当!?
なら、直ぐに準備するわね!」
ベッドから飛び降りて、バタバタと準備を始めるフィリア。
そんな邪神を見つめながら、無事に呪いが解呪できますようにと、神様に祈りを捧げたのだった。
あれから一晩が経過した。
身体も随分と落ち着きを取り戻しているが……。
『現在の状態:邪神の呪いにかかっています。』
俺はベッドから身体を起こして、自分のステータスを確認した。
この状態異常は今も消えてはいない。
「はぁ……」
思わず溜め息が漏れる。
状態異常にかかることなんて、子供の時でもほぼなかったのに……。
なのによりにもよって久しぶりに掛かったのが、こんな最悪なものだなんて……。
「……ラス? どうしたのよ?」
隣で眠っていたフィリアが目を覚ました。
頭を抱える俺の様子が気になったのか、原因を作り出した邪神が尋ねてくる。
ちなみに、今の俺たちは生まれたままの姿だ。
昨日はあのまま……互いに疲れて眠ってしまったからな。
「も、もしかして、身体が辛いの?」
言ってフィリアは俺の下半身に目を向ける。
「どこを見てるんだ」
「え……あ、あ、あたしのこと……また、その……だ、抱きたくなったのかなぁ……って」
真っ赤な顔で、明らかに照れながらちらちらと俺の顔を見るフィリア。
恋愛経験の乏しい俺でもわかるくらい、その表情は恋をしている女の子の顔だった。
「っ……」
俺は思わず目を逸らす。
美の女神すらも驚愕するほど美しさと、まだ大人になりきれていない少女らしい可愛らしさ同居しているような奇跡の存在――そんな女に熱い眼差しを向けられては、正直なところこちらまで照れる。
何より、生意気だったあの邪神がすっかり従順になってしまって、少し対応にも困っていた。
「あ、あたし……ラスがしたいなら……いいよ?」
「ば、バカ!
き、昨日は一晩……あんなに……」
「でも……あたしのせいだから……」
言いながら、フィリアが俺を抱き締める。
そして、豊満な果実をギュッと俺に押し付けてきた。
一枚の布越しから感じる柔らかな感触に、くらくらしてしまう。
「……い、今は大丈夫だから、離れてくれ」
「本当?」
「ああ……」
俺が頷くと、フィリアは優しく笑って身体を離す。
これまで戦ったどんな難敵よりも遥かに、フィリアは俺を緊張させる。
「はぁ……とりあえず、着替えるか」
「あたしは別に……このままでも……」
「あのな! 裸で外に出たらただの変態だろ!」
「え? 外に出るの?」
「勿論だ。
ずっとここにいるわけには行かないだろ。
この呪いを解呪する手段も探したいからな」
「……」
しゅん。と、悲しそうな顔で黙り込むフィリア。
「ごめんね、ラス。
あたしが呪いを解いてあげられればいいんだけど……」
邪神の呪いは、掛けたフィリア自身も解けないらしい。
昨晩、情事の間にその話は聞いていた。
そもそもこの邪神は回復魔法の類いは一切使用できない、攻撃特化型なのだそうだ。
曰く、自分が強すぎて傷付いたことがなかったから……とのこと。
「……もう過ぎたことだ。
気にしなくていい」
「……」
フィリアは俺に呪いを掛けたことを深く反省していた。
そんな姿を見せられては、もう責めることはできない。
反省と成長は常なのだから。
「そうだ――あたしも一緒に行くわ!」
「え?」
「一緒に解呪の方法を探すのよ!
そう、きっとそれがいいわ!」
「本気で言ってるのか?」
「本気よ!」
「で、でも……お前邪神だよね?」
「だけどラスの奴隷よ。
だから一緒に行くの」
「……」
思わず言葉を失う。
邪神と共に冒険に出た者が、今までの歴史でどれほどいただろうか?
「それにね、ラス。
もし……もしよ。
一人で冒険に出てしまって……その場で呪いの効果が出ちゃったら、どうするの?」
「っ……そ、それは、確かに困るな……」
発散しなければ、俺は最悪死ぬことになる。
かといって、見掛けた女の子を襲うなど言語道断だ。
「だったら……あたしが傍にいるのが一番よ!」
そう言ってフィリアは満面の笑みを向けた。
さらに続けて、
「それに、あたしはあんたと一緒にいたいの。
だって、ら、ラスのこと……――」
「――わ、わかった。
一緒に来てくれ」
フィリアの言葉を遮るように、俺は慌てて口を開いた。
「本当!?
なら、直ぐに準備するわね!」
ベッドから飛び降りて、バタバタと準備を始めるフィリア。
そんな邪神を見つめながら、無事に呪いが解呪できますようにと、神様に祈りを捧げたのだった。