第34話:モラル問題とけじめ、地方移住

文字数 2,046文字

 総務省が、1月29日、公表した2020年の住民基本台帳の人口移動報告によると、東京から出て行く人を示す転出者数が計40万1805人と前年比4.7%増え、比較可能な2014年以降で、最大になった。近年は、東京への一極集中が続いていたが、地方でのテレワークを志向する人が増えるなど新型ウイルス感染症で流れが変わった。東京の昨年の状況をみると、ウイルス感染症が、広がった後の5月に比較可能な2013年7月以降で初めて転出が転入を上回った。

 6月には、いったん元に戻ったものの7月から12月までは、また転出の方が多くなった。年間では、ここ数年38万人前後が続いていた転出者数が、40万人を超える一方、東京への転入者は、43万2930人と7.3%も減少した。転入者は、2014年につぐ少なさだった。転入から転出を引いた転入超過数は、3万1125人となり、2019年に比べて62%減と大幅に減った。東京から出て行く人を受け入れているのは近隣の県であった。

 神奈川は転入超過数が、2万9574人と東京に次いで多く、千葉は、1万4273人と19年から約5割も増えた。転出者が多かった北関東3県や長野、山梨などでは転出超過数が、2019年から半分以上縮小した。背景にあるのは 感染症で地方移住を希望する人が増えている事だ。移住などの情報を提供する東京・有楽町のふるさと回帰支援センターでは、2020年6~12月にメールや電話での相談件数が前年比4割近く増えた。

 特に北関東や神奈川、山梨などへの移住相談が増えたという。感染拡大防止のためのテレワークが広がり、出社頻度が減った人も多かった。群馬県の移住促進の担当者は「東京の仕事は変えず環境のいいところへ移りたいという相談も増えた」と話す。県の移住サイトの閲覧数は前年比50%増が。続くという。一方、ふるさと回帰支援センターでは、「前向きな移住だけではない」との指摘もある。

 ウイルス感染症で失業したり収入が減り、影響で東京に住めなくなり家賃や生活費の安い地方への移住を考える人もいる。
「そういった人は仕事探しの相談もしながら東北や九州などの地方都市への移住を希望する」という。政府は 感染症を機に東京一極集中の是正を進めようとしている。2021年度には、東京で仕事を続けながら地方に移住した人に最大100万円の支援金を出す。地方自治体が住民のテレワーク環境を整備するための交付金も新設する。

 東京への転入超過数の減少は、 感染症での移動自粛で東京への転勤や引っ越しを保留する企業や人が増えたことも大きい。今後も東京への一極集中の緩和傾向が続くかは、テレワークや地方移住など 感染症を機に進んだ働き方の変化が定着するかにも左右される。ニッセイ基礎研究所の天野馨南子氏は「これまで20年以上、転入超過が続いてきたのは、正規の仕事が東京に多いという理由がある」と指摘する。

 「地方での仕事が増えない限り、一極集中の流れは簡単には変わらない」と分析する。東京への転入超過数には男女で違いもある。男性の9632人に対し女性は2万1493人と2倍以上だった。天野氏は「女性の方が地方で選べる仕事の幅が狭く、東京に集まる傾向が強い」とし、「女性の移住が増えなければ未婚化や少子化も進み、地方創生にはつながらない」と課題を指摘している。

 2021年3月23日、スエズ運河、封鎖事故が、発生した。愛媛県の正栄汽船が保有し台湾の長栄海運が運用する「エヴァーギヴン」が座礁し、6日間にわたり世界の多数の船舶の通航に支障を来たし、同年4月4日に滞留船舶の通過が完了した。3月24日、新電力大手のF-Powerが、会社更生法の適用を申請。負債総額は、約243億円で本年最大となった。

 4月1日、河井夫妻選挙違反事件により前年6月に起訴され、一貫して無罪を主張していた自由民主党所属の河井克行衆議院議員が同年3月23日に一転して罪を認め、議員辞職を表明し、この日許可された。その後、10月31日の衆議院選挙で、緊急事態宣言を破り、深夜に東京のクラブに出入りしていた、4人のうち当選したのは、奈良3区で、田野瀬太道氏が、全体の60%を超える圧倒的多数でトップ当選を果たした。

 一方、元自民党の白須賀貴樹氏と大塚高司氏は、今年2月、緊急事態宣言中に都内の高級ラウンジを訪れたことを受け、自民党を離党し、衆院選への不出馬を決めた。また、無所属で出馬した松本純氏は、落選した。元、公明党の遠山清彦は、議員辞職した。

 6月7日「現地時間」エーザイとバイオジェンが共同開発したアルツハイマー型認知症治療薬のアデュカヌマブをアメリカ食品医薬品局「FDA」が迅速承認した。アルツハイマー病への新薬としては、18年ぶりである。アミロイドβを標的としたものとしては、初となる。7月3日、記録的な大雨に見舞われた静岡県熱海市伊豆山地区で大規模な土石流が発生し、20人以上が巻き込まれ多数の安否が不明となった。
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