第32話:新型ウイルスのワクチン到着、政治家の接待問題

文字数 2,047文字

 2021年1月1日、宮内庁は、新型ウイルス感染症の影響により本年の新年宮中一般参賀を取り止めた代替措置として、この日、公式ホームページに於いて今上天皇並びに皇后雅子の新年ビデオメッセージを公開した。15日、鶏卵生産大手の「アキタフーズ」グループ元代表から現金500万円の賄賂を受領したとして、前年12月21日に体調不良で議員辞職していた自由民主党の吉川貴盛元衆議院議員が収賄罪で在宅起訴した。

 2月12日、アメリカの製薬大手ファイザーが開発した新型ウイルスのワクチンを載せた航空機が製造工場があるベルギーブリュッセルから成田空港へ到着した。14日にも国内初の新型ウイルスのワクチンとして正式承認される見込み。17日、日本国内で初めて「アメリカ・ファイザー製」ワクチンの接種が、始まった。24日、同月初旬に判明した2020年12月までの総務省幹部による東北新社からの国家公務員倫理法違反の接待問題で、同省は11人の処分を発表。

 THS社役職員による総務省幹部接待問題は、2021年2月当時内閣総理大臣であった菅義偉の長男を含むTHS社の役職員が、監督官庁である総務省の幹部職員を接待していた問題である。判明している接待の内容は、2016年7月から2020年12月にかけて、計13人の総務省職員が、THS社から合計39件の接待を受けていた。総理の長男が同席していたのは、半数超の21件だった。

 接待を受けていた13人の中で、最も接待金額が多かったのは、4回にわたる会食で飲食代やタクシー券、手土産など計約11万8千円の接待を受けたTY審議官。THS社による接待の合計金額は、60万8千円以上だった。2019年11月6日 総務審議官(当時)のYMが、東京・虎ノ門でTHS社社長、THS社幹部ら4人より接待を受けた。1人当たりの飲食単価は、7万4203円。2020年10~12月にかけて総務省の幹部職員が、THS社幹部より接待を受けた。

 彼らは高額な飲食代をおごってもらったほか「一部の人は、自分の分は支払ったと週刊誌で主張」、タクシーチケット、さらに高級食パンやチョコレートなどを手土産として受け取っていた。この会食には、創業者親戚筋のTHS社、NT社長と、放送関連事業を行う事業部長も出席していた。2021年2月26日、THS社は、NK社長が辞任し、創業家以外からは初めてNS氏が、社長に就任した。

 またメディア事業部の統括部長を務めていた総理大臣の息子を懲戒処分とし人事部付としたことを発表した。2006年に菅義偉は総務大臣就任時、無名のバンドマンで社会人経験のない息子を大臣秘書官として抜擢し、多数の総務官僚との接点を持たせた。2008年に菅義偉の後援者であるUH氏が、創業したTHS社に入社し、「総務省担当」を担った。2012年、2014年、2017年、2018年にUH氏は、菅総理に計500万円の個人献金をしていた。

 総務省と、東北新社の幹部が会長を務める『衛星放送協会』による有識者会議が休眠状態になった直後に2018年分の50万円の個人献金があり、この頃から東北新社は、会議メンバーの総務官僚に接待攻勢していた。2016年7月~2020年12月にかけて、計13人の総務省職員がTHS社側から計39件の接待を受けていた。
 
 会食は、THS社の子会社「スター・チャンネル」の免許更新の直前に集中していた。2016年10月にTHS社はBSチャンネル「ザ・シネマ4K」の事業認定を申請した際、外資比率が20.75%で、放送法に違反した状態だったにもかかわらず、外資比率が、20%未満であると事実と異なる申請を行い審査する総務省による認定を受けていた。

 2017年10月、THS社は、外資比率が、20%を超え、放送法に違反した状態だったにもかかわらず、子会社に事業を継承していた。2021年2月3日、文藝春秋『週刊文春』が、この問題を報じた。2月4日の衆院予算委員会で、野党議員の追及を受けた総理は「息子は、今もう40歳位ですよ」

「私は、普段ほとんど会ってないですよ。私の長男と結びつけるちゅうのは、いくらなんでも、おかしいんじゃないでしょうか。私、完全に別人格ですからね、もう」と感情を露わにした。2月17日、菅義偉はUH氏から受け取っていた計500万円の個人献金について「12、14、17年は、衆院解散の時で、選挙のお見舞いということだ」と説明した。

 確かに2012年、2014年、2017年分の献金は、全て衆院選の時期に前後しているが、2018年10月3日の50万円分の個人献金の前後には選挙は、なかった。2月19日、総務大臣武田良太は、接待を受けた2人を2月20日付で官房付に異動させると発表した。武田は「『接待問題と』今回の人事異動はまったく関係がない」と述べ、「事実上更迭」との見方を否定し、「重要法案の審議をお願いしなければならない中で、適材適所の配置として行うものだ」とも説明。
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