第17話:リーマンショック、投資とテロ事件と不景気

文字数 2,040文字

 しかし日本の夏の平均気温は過去100年間、上昇傾向にあり地球温暖化を危惧する人々から温暖化により劇的な気象被害を危惧する発言が相次いだ。一方、その頃アメリカでは、低所得者向け高金利型「サブプライム」住宅ローンの焦げ付きが多発し、これをきっかけに世界の金融市場が大きく動揺した。リスクに対する警戒感が急速に高まった。

 そして、8月以降、信用の収縮、株価急落、ドル安などが一気に加速した。ローン債権を証券化した金融商品に投資していたヘッジファンドや金融機関は相場の急落で巨額の損失を計上。その後、資金繰り難に直面し一部は破たんした。米国や欧州の中央銀行は市場に巨額の資金を供給。米国は利下げ、英国は住宅ローン会社への緊急融資に踏み込み、事態の沈静化を図った。これまでのところ実体経済に大きな影響はない。

 しかしサブプライム問題を発端とした市場混乱を理由に2008年の景気見通しは、米国、欧州、日本いずれも下方修正された。この影響か、夏になっても牧場を訪れる関東からのお客さんの数が、かなり減って感じがした。そのため、今年は、昨年よりも少ない人数でローテーションを組んで、観光客に対応した。しかし、車で来て、宿泊するお客さんは、以前よりも増え断わり切れず、平坦な所なら車を止めて宿泊することを了解した。

 そのため、簡単に食べられるお弁当、飲み物などを多めに在庫しなければならなかった。こうして今年も夏のj書き入れ時も過ぎていった。この頃、世界的に地球温暖化問題に対する国際的な関心が高まった。ゴア前米副大統領の講演活動を記録した映画「不都合な真実」が、全世界で大ヒットした影響も大きいと考えられる。国連の「気候変動に関する政府間パネル『IPCC』」は、温暖化の主因が、人為的な温室効果ガスの増加だと、ほぼ断定した。

 そして、環境への影響を予測する報告書をまとめてゴア氏とともにノーベル平和賞を受賞した。温暖化対策は、6月のドイツ・ハイリゲンダム主要国首脳会議「サミット」でも、世界的な地球温暖化問題が、最重要議題となり、各国、が緊急に協調行動を取ることで一致した。12月には国連の気候変動枠組み条約第13回締約国会議「COP13」と京都議定書第3回締約国会合「COP/MOP3」がインドネシア・バリ島で開かれた。

 その後、2013年以降の「ポスト京都」の国際協定づくりに向けた行程表が協議された。こうして2008年を迎えた。
この年の4月には、村沢家の長男健一が、小学校に入学し、柴橋家の長男、柴橋和利と長女、柴橋和代が、そろって中学生になる、そのため、カバン、制服などをそろえた。入学祝いに柴橋和利は、ラジカセを買ってもらい、和代は腕時計と万年筆を買ってもらった。そして、自分たちは、パソコンを購入し、自宅に光りインターネットを引いて、パソコンを使い出した。4月、75歳以上の約1300万人が加入する「後期高齢者医療制度」が、スタートした。

 高齢化で増え続ける医療費について高齢者と現役世代の分担割合を明確にすることなどが導入の狙いだった。しかし、当初から「年齢で区分する差別的な制度」との批判が噴出した。それまで加入していた国民健康保険などと比べて保険料が急激に上がった人も多く厚生労働省の説明不足が批判の的になった。年金から保険料を天引きする仕組みも反発を招いたため、政府・与党は口座振替との選択制にすることを決めた。

 さらに制度の見直し案を来春をめどにまとめる方針だ。民主党など野党4党は同制度の廃止法案を国会に提出した。5月12日、中国四川省を震源とするマグニチュード8の大地震が発生。死者・行方不明者が8万人超の大惨事となり北京五輪を控えた胡錦濤指導部に大きな衝撃を与えた。最大の被害を受けたのは、当時授業中だった子供らで、校舎倒壊で6500人以上が死亡。校舎建設費を安く抑えるための手抜き工事という根深い問題が潜んでいた。

 温家宝首相が迅速に被災地で陣頭指揮を執ったほか震災直後には内外メディアの自由な取材を認めるなど異例の政府の対応に注目が集まった。さらに日本からの国際緊急援助隊が、他国に先駆けて駆け付け中国の対日感情好転につながった。政府は、復興に全力を挙げているが、被災地が負った傷跡は大きい。政府は、8月の月例経済報告で、基調判断を「景気回復は足踏み状態」から「景気はこのところ弱含んでいる」に下方修正し、景気が後退局面に入ったことを認めた。

 これにより2002年2月に始まり、いざなぎ景気「57カ月」を超えた戦後最長の景気拡大に終止符が打たれた。米経済の減速や原油高を背景に、けん引役の輸出の落ち込みが要因。企業は設備、雇用、債務の3つを解消し業績を回復させたが、賃金は抑制され、実感に乏しい景気拡大。内閣府は来年1月29日に学識者による「景気動向指数研究会」を開き、景気後退の時期を決める。民間エコノミストの間では、2007年10-12月の景気後退が大勢だ。
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