第10話:不景気、ヤフー儲けで村沢が故郷へ

文字数 2,018文字

 労働の需給バランスを表す有効求人倍率も1998年7月には0.5倍と過去最低となった。1997年4月に改正外為法が施行され、12月からの株式売買の取引所集中義務の廃止、金融機関による投資信託の直接販売の解禁など日本版ビッグバン「金融制度改革」が、本格化し、銀行、証券の垣根や国境を越えた合従連衡が進んだ。1998年の日本経済で最も注目を集めたのは、日本長期信用銀行の経営問題だった。

 住友信託銀行との合併交渉、公的資金投入の是非をめぐる与野党対立、債務超過認定を経て、10月に金融再生法に基づく特別公的管理「一時国有化」適用で決着した。12月には同じ長期信用銀行の一角、日本債権信用銀行も特別公的管理に移行した。こうして、いまだに、日本の経済界は、バブル崩壊の影を引きずったままの状態が残っていた。

 1999年1月1日、欧州統合の「深化」の切り札とされる欧州経済・通貨統合「EMU」の下で、単一通貨ユーロが誕生した。欧州連合「EU」各国による財政の健全化など長年にわたる周到な準備が実ったもので、これにより国際通貨システムは米ドルとユーロの2大通貨体制の確立に向けスタートを切った。1999年3月24日から6月10日にかけて行われた北大西洋条約機構「NATO」によるアライド・フォース作戦。

 この間、NATOはユーゴスラビア軍や民間の標的に対して攻撃を加えた。アルバニア人勢力は、ユーゴスラビア軍との戦闘を続けコソボで大規模な人口の流動が、起きた。北大西洋条約機構「NATO」が、コソボ問題でユーゴ空爆した。イラクでの国連大量破壊兵器廃棄特別委員会「UNSCOM」による査察をめぐる対立で、国連安保理はイラクに査察の無条件受け入れを求めた。米国は1月、イラクに対し、単独でも軍事行動に踏み切る意向を示し、一触即発の危機となった。

 しかし、2月にイラクを訪問したアナン国連事務総長が査察受け入れの同意を取り付け、危機回避に成功。だが、その後も国連制裁の早期解除を求めるイラクが査察拒否を繰り返したため、米英軍は12月、4日間にわたってイラクに攻撃を加えた。1999年は過去に例を見ない厳しい雇用情勢が続いた。総務庁の労働力調査では、6、7月の完全失業率が史上最悪の4.9%を記録し、300万人を超える人が失業の憂き目にあった。

 1999年8月にトルコ西部でマグニチュード7.4の大地震、9月にも台湾で大地震が相次いで発生、多数の建物が一瞬のうちにがれきと化した。台湾では倒壊マンションのコンクリートから、セメントを節約するためと思われる空き缶や新聞紙が見つかり、手抜き工事が指摘された。1990年代を通じて不良債権に苦しみ続けた邦銀が、金融ビッグバン時代での生き残りをかけ、共同持ち株会社設立や合併による再編戦略を相次いで打ち出した。

 1999年8月、第一勧業銀行、富士銀行、日本興業銀行の3行が持ち株会社設立による経営統合を発表した。1999年10月には、住友銀行とさくら銀行の旧財閥系2行も合併で、合意した。10月、住友・さくら銀合併、第一勧銀など、3行統合と金融再編が、展開していった。12月17日にダウが史上最高値を更新し、米国の景気拡大は1999年も続き、クリントン政権は、経済面でも「強いアメリカ」を実現した。こうして、2000年を迎えた。

 2000年3月1日の朝、村沢研吾から田沼恵理に電話が入りソニー株の気配値が、33700円で売りと言われ同意し、全株売りを指示し売れた。その結果、税引き後利益が、5420万円で、残高が5560万円となった。3月27日、北海道、有珠山で噴火が起きるかもしれないと予知するデーターが、出たため、29日に、気象庁から緊急火山情報を発令。これを受けて壮瞥町・虻田町・伊達市の周辺3市町では危険地域に住む1万人余りの避難を噴火までに実施した。

 通常、緊急火山情報は人命に関わるような噴火が発生したことを知らせるものであり、噴火前に発表されたのは、この時が、初めて。噴火直前、北海道大学有珠火山観測所が、144時間以内に噴火すると予告し143時間後に大噴火。3月31日、13時、国道230号のすぐ横の西山山麓からマグマ水蒸気爆発。噴煙は3500メートルに達し周辺に噴石放出、北東側に降灰。翌日には西山西麓や温泉街に近い金比羅山でも新火口が開き付近に次々と新しい火口を形成した。

 火口に近い地域では噴石や地殻変動による家屋の破壊が多発した。このため国道230号は、通行不能。金比羅山火口からは熱水噴出により熱泥流が発生し洞爺湖温泉街まで流下、西山川に架かる2つの橋が流失した。また、広い範囲で地殻変動による道路の損壊が発生した。なお、噴火後に避難者数は最大、約1万6千人まで拡大。熱泥流に襲われ校舎が損壊した洞爺湖温泉小学校は、敷地が砂防ダム用地になった事も合わせて、再び、移転改築を余儀なくされた。
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