第10話 先生に魔道獣を鑑定してもらった件

文字数 1,272文字

 いつも私のお話を読みに来てくれてありがとう。

 今回は、私の先生のお話をするね。

 前回のお話の後、私は久しぶりに先生に会いにいったの。

 先生は、前に話した、古代からローゼンブルグに生きている鬼の子孫の女性で、神逢瀬の森と呼ばれている秘境に一人で暮らしているの。

 鬼の子孫だけど、見た目は普通の人間とあまり変わらないわ。

 頭にツノが生えていることを除けば、ね。

 彼女は私にこの世界の色々なことを教えてくれたの。

 だから、私は勝手に先生って呼んでいるのよ。

 先生は私の身体を心配してくれていたの。

 私が魔道獣を複数寄生させているのを知ってるからね。

 先生は、私の身体を確認しながら、

「いくらあんたに魔道獣が寄生しても魔物化しない特殊体質があるといっても限度があるから、あまりたくさんの魔道獣を寄生させると身体が持たないわよ」

 と言ってくれたわ。

 先生は、私にはあくまで普通の人間でいてもらいたいみたいね。

 以前、先生は私に、複数の魔道獣の魔力の質を調整して一つにする魔道具を作ってくれたの。

 私に寄生しているそれぞれの魔道獣の魔力は少しずつ特性が違うから、そのまま魔法を唱えると、魔力同士が反発してしまって威力が弱くなってしまうの。

 だから、この複数の魔力を私が扱いやすいものに変換してまとめてくれる魔道具を先生は作ってくれたの。

 この魔道具をお腹の中に入れているから、私はたくさんの魔道獣の魔力を同時に扱うことが出来るのよ。

 今回は先生に、例の平等村で手に入れた魔道獣を鑑定してもらったんだけど、単純な強さ的にはDランクってとこらしいわ。

 でも、強力な催眠能力があるのが珍しくて、そっちを考慮するとBランク相当になるみたい。

 掘り出し物だって言ってたわ。

 前に言わなかったけど、魔道獣にも、強さや能力によってランクがあるの。

 それとね、魔道獣は生体エネルギーを多く取り入れると覚醒して一気にパワーアップすることがあるらしいの。

 先生曰く、覚醒した魔道獣は能力が大幅に上昇して一気にランクアップするらしいわ。

 日太刀王が寄生させているものは当然一番上のSランクなんだけど、あいつの魔道獣はきっと、覚醒するために宮古様からたくさん生体エネルギーを奪ったんだよ。

 私、絶対に許せないわ。

 だから、あいつのSランクの魔道獣に太刀打ちできるように、私はもっと強くなって、さらに強い魔道獣を手に入れられるようにならないといけないの。

 夜になって、私は先生の住んでいる小屋の屋根の上に登って、先生と二人で夜空の星を見ていたの。

 ここは、ローゼンブルグの中でも、空気が澄んでいて、星空が綺麗なことで有名なのよ。

 先生と手を握りながら星を眺めていたら、自分がとてもちっぽけな存在に思えてきて、いろんなことがどうでもよくなってきたの。

 でも、宮古様のことだけは、絶対に忘れないわ。

 必ず、彼女を救ってみせるの。

 それが私の宿命だと思っているし、私がこの世界に転移した理由だと思っているからね。

 今回も最後まで読んでくれてありがとう。

 出来れば、また、読んでほしいな。
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