第15話 伝説の魔道具職人と呼ばれたエルフに会いに行った件

文字数 1,402文字

 今日も読みに来てくれてありがとう。
 今回はエリシャに会いにいった時のお話をするね、

 エリシャのいるローラシア大陸は、ローゼンブルクの西側にある大陸で、帰らずの森から最寄りの都市までは、ローゼンブルクから高速飛行船を使ってほぼ一日で到着するくらいの距離にあるの。
 エルフさん、意外と近くにいてくれて助かったわ。

 帰らずの森は、一度入ったら正しい道のりを通らないと二度と森から出ることができないの。
 まるで森自体が生きているみたいにね。

 私は魔道獣の効果で鼻が効くから、人のにおいを辿ってすぐにエルフの場所を探すことが出来たわ。

 あのエルフは森の中に小屋を作って生活していたの。
 でも、外でも普通に服を着ていなかったからびっくりしたわ。
 彼女はネイチャリストで、普段から健康のために何も身につけずに生活しているみたいね。

(来客か。森を自力で抜けてきたのはあの子以来だね)

「初めまして。私はアン・クオールと申します」

「かしこまらなくてもいいよ。私に会いにきたんだろう?とりあえずそこに座りなよ」

 私たちは、小屋の前にある木製のテーブルと椅子に座ってお話をしたの。

「こんな姿で驚いたかい?基本ここには誰も来ないからね。この森を通って私に会いに来るような物好きはほとんどいないからね。自分の身体をキレイに保つには何も身につけずに自然のままの姿でいるのが一番なのさ」

「そうだったのですね。私はあなたが魔道具作りの天才だと聞いたので、会いにきました。ローゼンブルクから来たんです」

「堅苦しい言い方はやめな。私はエリシャだ。もっと気さくに話してくれていいよ」

「そうですか。では、エリシャさん。まず、これをどうぞ」

 そう言って私は手土産を渡したわ。

「これは蛍石じゃないか。あはは、さすがだね。魔道具のことをよく知っている。あの子とは大違いだ」

 そう言ってエルフは笑っていたわ。

 このエルフさんは見た目は私と変わらないくらいに若く見えるのに、話し方や仕草はまるでおばあさんみたいだから、不思議な感じがしたの。

 あの子っていうのは、ボクちゃんが話していたあの女の子のことかしら。

「それで、ローゼンブルクからわざわざ私に会いに来たのはどうしてなんだい?何か理由があって来たんだろう?」

 私はエルフにこれまでの経緯を説明したの。

「なるほど。大体のことはわかったよ。あなたはとにかく宮古様を元に戻したいんだね。とりあえず、少し休憩しようか」

 そう言って、エルフは小屋の中から手作りのお菓子とハーブティーのようなものを持って来てくれたの。

「おいしい」

「そうだろう。これはフィナンシェといってね。あの子の好物だから、次に来る時のためにたまに作っているのさ」

「前にあなたに会いに来たという女の子ですか?」

「そうそう。ドロシーっていってね、私が色々と教えてあげた子なんだ。あの子はかわいいんだけど、少し思い込みが激しくてね。そういう危なっかしいところがあるから、もっと自分の身体を大事にするように言ってるんだけど、なかなか言うことを聞かなくてね」

(ま、あいつは、ローラだった時からそんな感じだったからね)

「そうなんですね」

「あなたにもそういうところがありそうだけど。あなた、自分の身体に魔道獣を寄生させているみたいだけど、自分の身体はもっと大事にした方がいいわよ」

 今日のお話はここまでだよ。
 続きは明日話すね。
 だから、必ずまた来てね。
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