第25話 世界は作り変えられた

文字数 1,335文字

 女神様は自分のことをドロシーって名乗ったわ。
 ドロシー? ドロシーって確かエルフさんの言ってた女の子の名前よね?
 なんであなたが女神様になっているの?

「私はね、今までこの世界を管理していた女神を倒して、新しい女神になったの。まあ、前の女神も一応私の母親だったんだけどね」

 母親の女神様を倒して、新しい女神になった???
 うーん、何が何だか、よくわからないわ。

「うふふ、あなたの着てるその服、面白いわね。頭のカチューシャは、昔私の先生が作ったものにそっくりだし」

 私は、女神様の前で膝をついて、かしこまったわ。

「ご紹介が遅れて申し訳ありません。アン・クオールと申します。このカチューシャは、ローラシア大陸でとあるエルフに出会った時にいただきました。これは、この国の英雄のイバラ姫をイメージして私が選んだ衣装です。私、ある人と約束したんです。私があなたのイバラ姫になるって。それで、私も彼女のような伝説の英雄になるんだという覚悟で着たんです。日太刀王にボロボロにされてしまいましたけど」

「イバラ姫ってあの伝説のイバラ姫よね?あはは、じゃあ、あなたがこの国を守ったお姫様ってところかしら?」

 女神様は私と会話を交わした後、この国中に溢れた魔素を無毒化してくれた。
 でも、この国の人々が今まで吸収してしまった分までは、無毒化できなかったんだって。

 それから、私は女神様に、宮古様を元に戻してもらうことと、クロウネを復活させてもらうことをお願いした。

 女神様によると、既に起きてしまった事を無かったことにするような願いを叶えるには、時を過去に戻してから因果律を操作して過去を改変する必要があるみたいなの。

 だから、女神様は過去に戻って、この世界を自分たちの理想の世界に作り変えるつもりらしいわ。
 私のアタマでは、何を言っているのかよくわからなかったんだけどね。

 そして女神様は、二人を私のもっとも望んだ姿で復活させてくれるらしい。

「私とシンシアの理想の世界を作る時に、ついでにあなたの願いも叶えてあげるわ。先生の知り合いみたいだから、特別にサービスしてあげる。でも、その前に、私たちにはやることがあるの。この世界の文明の大元になっている機械人形を知ってるかしら? 私はね、この世界を作り変える前に、あのおもちゃの解読をしようと思ってるの。この世界を変える前に、この世界の全てを知っておこうと思ってね。だから、悪いけど、願いが叶うまでもう少しだけ待っていてね」

 こうして、女神様と女の子は、また、光のゲートを通って、去っていった。

 そして……

「やっぱり再生していたわね」

 女神に焼き尽くされたはずのあの魔道獣は、驚異的な再生能力で少しずつ身体を再生していたの。
 すごい生命力だけど、本当に見苦しいやつね。
 だから、私の魔道獣で食べてやったわ。

 そして、私はその再生能力を受け継いだの。
 魔道獣を吸収した扱いになったのかしら。

 女神様が世界を作り変えたら、私は宮古様とこのローゼンブルグを再建するために、イバラ姫を演じきるつもりよ。
 クロウネのためにもね。
 でもそのために、邪魔になるのなら、ドロシー、あなたとだって戦ってやるわ。

 そして、この世界は女神様によって作り変えられたの。
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