第14話 律儀な魔女は手土産を用意する

文字数 1,010文字

 いつも読みに来てくれてありがとう。
 今回はエリシャに会いに行く前に手土産を手に入れた話をするね。

 私は、エリシャに会いに行く前に、手土産を手に入れることにしたの。
 やっぱり大事な人に会いに行く時は手土産は大事よね。

 それで、私はローゼンブルクの北端にある、昔金を採掘していた採掘場跡にいったの。

 ここは、私のスマートボードも圏外になってしまって使えなくなるくらいの秘境で、大分昔に金が取れなくなってからは人々からは忘れ去られてしまって地図にも載っていない場所なの。

 私はここで、特別な蛍石を手に入れることにしたの。
 ここに蛍石があることは、鬼の先生から教えてもらったのよ。

 ここの蛍石はただ光るだけじゃなくて、魔力に反応して様々な効果を発動する特別なものだから希少性が高いの。
 浮遊能力を発動するものは飛行石とも呼ばれているわ。

 だから、魔道具職人達からしたら喉から手が出るほど欲しい素材みたいね。
 昔、ここで金を採掘していた人たちにはその価値がわからなかったんでしょうけど。

 今はこの場所は鬼たちの棲家になっているから普通の人は近づかない方がいいわ。
 私は全然平気だけどね。
 
 私は、ここに棲む鬼とは何度か取引をしているから顔見知りになっているの。
 物々交換できちんとした物を渡せば、何もしてこないわよ。

 ここに巣食っている鬼に、ここの蛍石と、以前魔道獣を手に入れる時についでに入手した大瑠璃の魔石を交換するように交渉したの。
 大瑠璃の魔石ひとつでも、ローゼンブルクでは国宝級のお宝だけど、今の私には必要ないからね。

 交渉はもちろん成功したわ。
 例え失敗しても、魔道獣で操ってやるつもりだったけどね。

 ここの採掘場には採掘用の洞窟の他にそれより以前の時代から存在する古い洞窟があって、何故かその一番奥には女神像が鎮座していたの。
 前も話したけど、この国では女神様は崇拝の対象になっていないから、こういう女神像があること自体が珍しいんだよ。

 私は、持っていたランタンの光に照らされた偶像の女神様の顔をじっと見つめながら、どうやったら女神に会えるのか、しばらく考えていたの。

 伝説だと、叡智の女神様は、彼女の課した試練をクリアした者には、どんな願いでもひとつだけ叶えてくれるみたいなの。

 だから、私は必ずあなたに会って、宮古様を元に戻してもらうわ。

 今日もここまで読んでくれてありがとう。
 また読みに来てね。
 必ずだよ。
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