(三・四)いじめ
文字数 1,340文字
駅前に降る雪の映像が消えました。でも直ぐにノートパソコンの画面には、別の景色が映りました。それは学校です。
「あっ、ぼくの学校だ」
健一が通う小学校のようです。健一は不安になりました。
どうして、ぼくの学校なんか?今はよろこびさまじゃなくて、かなしみさまなんだ。ということは、ぼくの学校で、何かかなしいことがあるのかな?
かなしみさまが答えました。
「そうだね、健一くんの学校だね」
健一は不安を、かなしみさまにぶつけました。
「かなしみさま。もしかしてぼくの学校にも、かなしみがあるの?」
かなしみさまは静かに答えました。
「そうだよ、健一くん」
「ええっ、やっぱり……」
健一は画面を見つめました。ノートパソコンの画面は学校の校庭から体育館の中に移り、更に体育館の裏側へと進んでいきました。
そこには、四人の男子生徒がいました。その中の一人は、健一が知っている生徒でした。三浦大助という六年生です。大助は意地悪で、あまり評判の良くない少年でした。
「何してるんだろう、あんな所で?」
体育館の裏側なんて、普段生徒は近付きません。健一は不審に思いながら、画面をじっと見つめました。どうやら大助たち三人が、一人の生徒を取り囲んでいるようです。そしてその子をみんなで、殴ったり、蹴ったりしているのでした。
「あゝ、いじめだ!」
健一は思わず、大声を出しました。そうです、いじめです。健一の学校にも、確かにいじめはあるのです。さっきかなしみさまが言った通りですね。健一の近くにも、かなしみは一杯あるのです。
いじめられている生徒は、頬が腫れ上がり、泣いています。その姿を見て、大助たち三人は笑っています。
「あゝ、かわいそう。なんてひどい事するんだろ」
健一は胸が痛みました。とても辛くて見ていられません。そんな健一に、けれどかなしみさまは言いました。
「でもね、健一くん。いじめている子の方だって、かわいそうなんだよ」
「ええっ、どうして?」
これにはビックリの健一です。思わず大きな声で言い返しました。
「そんなの、おかしいよ、かなしみさま。いじめてる方がかわいそうだなんて」
するとかなしみさまは、健一をなだめるように答えました。
「まあまあ、落ち着いて、健一くん。それじゃ、これを良く見てごらん」
かなしみさまの言葉に合わせて、画面が替わりました。健一はじっと見つめました。
「ここはね、いじめていた子の家なんだよ」
そこは三浦大助の家でした。家の中には、いかにも意地悪そうな大人の男女がいました。この二人が、大助のお父さんとお母さんです。学校から帰って来た大助を呼び止めます。
「帰りが遅いぞ、大助。何をもたもたしてたんだ!」
そして二人で大助を殴り始めました。大助が必死に抵抗します。
「止めてよ、お父さん、お母さん。ぼく、何も悪い事してないのに」
大助の目には、涙があふれていました。その姿は、さっき大助たちがいじめていた生徒と同じです。
「大助、かわいそう……」
健一は思わず、もらしてしまいました。
「ほらね、健一くん。いじめている子だって、やっぱりかわいそうだろ?」
「……うん」
「どんな子にもやっぱり、悩み、苦しみ、かなしみはあるんだよ、健一くん」
健一はかなしみさまに頷くしかありませんでした。
「あっ、ぼくの学校だ」
健一が通う小学校のようです。健一は不安になりました。
どうして、ぼくの学校なんか?今はよろこびさまじゃなくて、かなしみさまなんだ。ということは、ぼくの学校で、何かかなしいことがあるのかな?
かなしみさまが答えました。
「そうだね、健一くんの学校だね」
健一は不安を、かなしみさまにぶつけました。
「かなしみさま。もしかしてぼくの学校にも、かなしみがあるの?」
かなしみさまは静かに答えました。
「そうだよ、健一くん」
「ええっ、やっぱり……」
健一は画面を見つめました。ノートパソコンの画面は学校の校庭から体育館の中に移り、更に体育館の裏側へと進んでいきました。
そこには、四人の男子生徒がいました。その中の一人は、健一が知っている生徒でした。三浦大助という六年生です。大助は意地悪で、あまり評判の良くない少年でした。
「何してるんだろう、あんな所で?」
体育館の裏側なんて、普段生徒は近付きません。健一は不審に思いながら、画面をじっと見つめました。どうやら大助たち三人が、一人の生徒を取り囲んでいるようです。そしてその子をみんなで、殴ったり、蹴ったりしているのでした。
「あゝ、いじめだ!」
健一は思わず、大声を出しました。そうです、いじめです。健一の学校にも、確かにいじめはあるのです。さっきかなしみさまが言った通りですね。健一の近くにも、かなしみは一杯あるのです。
いじめられている生徒は、頬が腫れ上がり、泣いています。その姿を見て、大助たち三人は笑っています。
「あゝ、かわいそう。なんてひどい事するんだろ」
健一は胸が痛みました。とても辛くて見ていられません。そんな健一に、けれどかなしみさまは言いました。
「でもね、健一くん。いじめている子の方だって、かわいそうなんだよ」
「ええっ、どうして?」
これにはビックリの健一です。思わず大きな声で言い返しました。
「そんなの、おかしいよ、かなしみさま。いじめてる方がかわいそうだなんて」
するとかなしみさまは、健一をなだめるように答えました。
「まあまあ、落ち着いて、健一くん。それじゃ、これを良く見てごらん」
かなしみさまの言葉に合わせて、画面が替わりました。健一はじっと見つめました。
「ここはね、いじめていた子の家なんだよ」
そこは三浦大助の家でした。家の中には、いかにも意地悪そうな大人の男女がいました。この二人が、大助のお父さんとお母さんです。学校から帰って来た大助を呼び止めます。
「帰りが遅いぞ、大助。何をもたもたしてたんだ!」
そして二人で大助を殴り始めました。大助が必死に抵抗します。
「止めてよ、お父さん、お母さん。ぼく、何も悪い事してないのに」
大助の目には、涙があふれていました。その姿は、さっき大助たちがいじめていた生徒と同じです。
「大助、かわいそう……」
健一は思わず、もらしてしまいました。
「ほらね、健一くん。いじめている子だって、やっぱりかわいそうだろ?」
「……うん」
「どんな子にもやっぱり、悩み、苦しみ、かなしみはあるんだよ、健一くん」
健一はかなしみさまに頷くしかありませんでした。
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