第84話

文字数 644文字

もしも、明日会社に行かなくてよければ、次の仕事の準備をする。
もしも1年後会社にいかなくてよければ、次のステップへむけての勉強を始める。
もしも数年後、病気でこの世を去ることが分かっているのであれば、明日からイギリス旅行へ旅立つ。
今の私は、仕事に対して前向きではない。別の章でも述べたが、心的負担が半端ない。

「どの仕事も大変ですからね。患者さんに何かあったらと思うと、10年以上看護師やってても
夜勤の時は、同じようにはらはらします」
先日出会った看護師さんのお話。夜勤が面倒で嫌と言っているわけではなく、責任が重いという認識からその言葉を口にしている。
「うちの母、看護師だったんですよ」
「娘さん(私)が書いていらっしゃた文章を拝見しました」
・・・施設あてに書いた礼状、読んでいただけたようです。
「いや、うちの母、怖かったんです。注射も「はい、腕だして。痛くない」って言われてました。
お母さんじゃないほうが良いって泣いてました」っていうと、看護師さんは、けたけたと笑っていた。
 本当は私の母、外科の副婦長で、外科の手術中に二の足をふむお医者さんに、「先生、しっかりしてください」と声をあげる看護師で、注射も痛くない看護師さんで通っていた。
「お前の奥さん、注射がうまい」と、友人から言われる父は、鼻高々だった。
 この両親があって、今の私なのでしょう。だから、人を傷つけたり、嘘をついたり、隠し事をしたり、
正直に生きない人を理解できません。


今回のエッセーコンテストは、この看護師さんのお話でいきます。



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