第60話

文字数 688文字

  チョコレートをいただいた。「ガーナ」が良いと、指定する。
 大事な大事な後輩、買ってこざるを得ない。しまった・・・、と少しだけ後悔する私。
朝、お願いしていた仕事のチェックを寝ぼけ眼でしていると、上着のポケットから「へへへ」と、チョコレートを出す後輩。この見た目の可愛さと、中身が不一致すぎて、私の中で今、彼女の存在が満塁ホームラン中だ。今までにないキャラクター。美人は美人の、かわいいはかわいいのふるまい、見事に私の中の法則をぶち壊してくれた。
 「溶けてんじゃねーの!?」という私。「いや、まだ大丈夫です」。。ごそごそとジャケットの小さなポケットに手を突っ込む。しかも、二個も小さなポケットに入っている。
 ブラックチョコレート。多分、彼女の趣味ではない。私のことを、大人だと、どこかで思っているのだろうと、勝手に喜ぶ。
 普通、可愛かったり、綺麗だと、その空気を出すのだが、この女性、随分異色。一緒にいて苦にならなすぎて、気を使うこと自体を忘れる。正しく言えば、忘れさせてくれる。そして私は、私のあまりのおうち時間のような態度に、相当年下の女性から怒られ、反省する。あまり、怒られなれていないので、新鮮だ。
 私は自称、精神年齢10歳だ。30円のコカ・コーラのラムネ菓子が好きで、ヨーグルトが好きで、白熊が大好きだ。チョコレートももちろん好きだ。苦手なものが、クッキーにおかき。
 いつまで大人を装い続けられるか、時間の問題だろう。いや、怒られるってことはもう、ばれてるのか。
 どちらにしても、気を使わなくてよい人が、近くに居てくれることは、今の私にとって、心から、ありがたい。

 
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