第3話

文字数 366文字

  寮の一階に住んでいたころの話。友人は私の部屋の窓から出入りをしていた。
 「お願いだから、私をかくまって」
 と、遊びに行くのが面倒だっただろう友人は、私の部屋のベッドに隠れていた。
 案の定、その友人を知人が探しに来た。
 「いや~知らない。どこにいったんだろうね~」
 と、窓の外から部屋の様子を伺う知人に向かって嘘をつく。
  友人は、「全然気づいてなかったね、ありがとう」と、言い残すと、
 自分の部屋に帰って行った。
  夜になり、私が布団に入ると、ビニールがごそごそという。布団をめくると、
 かじったあとの、りんごの芯がビニール袋に入っていた。
 私が嘘をつき、彼女をかくまうのに苦闘しているとき、彼女は
 私のベッドの中で、リンゴをかじっていたのだ。
 「もう、しるか!ってか持って帰れよ、りんごの芯。しかもこれ、私のリンゴじゃね!?」
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