第67話

文字数 685文字

 鹿児島の人の話をする。かごんまおごじょと、耳にする。知り合った女性、強いな、と、ただただ思う。彼女は学校の先生、グラウンドで腕組みをし、怒声を飛ばす。半端なく怖い。底抜けに怖い。気が強い私の口が、あんぐりと開いてしまうほどだ。
 ここまで仕事に情熱を注げるかなと、私の頭は???だ。仕事がしんどいと、言ったことがない。
「人生を預かっている」と、はっきりと口にできる人。部活で日焼けをし、ころころと太っている。お酒が大好きで、休みの前の朝3時、4時に平気で電話をしてくる。他の先生を飲み屋に呼び、家に運んでもらうこともあるそうだ。
 生徒のことが大事だと、耳にタコができるほど聞かされる。
 こんな先生に習ったことあったかな?私は、無い。この先生に生徒として巡り会いたかった、と、どの面をみていても思える。ただ巡り会えたことは、私にとってプラスになった。
 彼女自身も相当な努力家だ。努力を努力と微塵も思っていない。私の100倍精神的に強い人。
彼女の部屋には、物がない。机とテレビと、教材用のアニメのビデオが数本、布団にでっかい観葉植物が2本。以上だ。そりゃそうですよね、人生の三分の二を学校で過ごしていますから。土曜も日曜も平日はもちろん。
 でも、しんどい顔をしない。愚痴もいわない。
 仕事が好きなのか、仕事があるから元気なのか、生徒がいるから元気なのか。わからない。
今まで出会った中で、仕事熱心さでいうと、間違いなくNo1だろう。
 
追記
 鹿児島の市電に乗っていると耳にする、
「また爆発したから灰がすごいですね。桜島だからしょーがないですね」
鹿児島の人々は、桜島が大好きだ。
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