第14話 隣の奥さん
文字数 1,105文字
第7場
中年の女性が奥の扉から入ってきます。
隣に住んでいるマルトという女性です。宝石で着飾っているマルグリートを目ざとく見つけ、からかうように声を掛けてきます。
第8場
ファウストとメフィストが入ってきます。
メフィストはうやうやしくお辞儀をします。
今は戦争のさなか、これは最悪の報せです。
マルトはショックでその場に倒れそうになります。
マルグリートはメフィストのたたずまいから、正体不明の恐ろしさを感じ取ります。
深刻な話なら、はしゃいでいる場合ではありません。それに二人の男からは、何やら禍々しい雰囲気を感じます。
そっと宝石を外すマルグリート。
ファウストが慌てて近づきます。
何と言っていいのか分からないファウスト。せっかく宝石を気に入ってもらえたのに、彼は女性の口説き方を知らないのです。
ならばお手本を見せようと、メフィストはさっそくマルトを誘惑し始めます。