第14話 隣の奥さん

文字数 1,105文字

第7場
中年の女性が奥の扉から入ってきます。

隣に住んでいるマルトという女性です。宝石で着飾っているマルグリートを目ざとく見つけ、からかうように声を掛けてきます。

まあ一体どうしたの? そんなきれいな恰好をして

あたしの天使。どこでそんな宝石を手に入れたの?

ち……違うの。

間違って届いたものなの(汗)

そうじゃないわ。

これらの宝石はあなたのものよ。可愛いお姫様。

そうよ、贈り物よ、あなたを愛する誰かからの!

あたしの愛する夫だって、これほど気前良くはなかったわ

あー、嫌なババア登場って感じだな!

本当は自分が宝石を欲しいからって

そうかもね(笑)。

ここで一部始終を見ていたメフィストたちが登場するよ

第8場
ファウストとメフィストが入ってきます。

メフィストはうやうやしくお辞儀をします。

マルト・シュベルトラインさんはおられますか?
あたしはここだよ
嬉しいものではありませんが、お知らせを持って参りました。

あなたのご主人がお亡くなりに。あなたによろしくと言っておられました

今は戦争のさなか、これは最悪の報せです。

マルトはショックでその場に倒れそうになります。

ああ……神様!
これはマルグリートに近づくための嘘?

だとしたらあまりに悪質だよ(怒)

いくら何でも、このおばさんが可哀想

そうなんだけどね……

このおばさん、本当に夫を愛していたのかどうか、怪しいような言動を取り始めるんだ

マルグリートはメフィストのたたずまいから、正体不明の恐ろしさを感じ取ります。
(独白)あの人を見るだけで、

私の心はどうしようもなく震えるわ

(聞こえているが、こっちも独白)

オレ様はこのババアを見ると冷めちまうぜ

(強欲丸出し)

夫の形見は、何かお持ちではないんですか?

形見は何もないのです。

彼に対する罰として、あなたは誰か代わりを探しなさい!

深刻な話なら、はしゃいでいる場合ではありません。それに二人の男からは、何やら禍々しい雰囲気を感じます。


そっと宝石を外すマルグリート。

ファウストが慌てて近づきます。

なぜ宝石を外すんですか?
だってこの宝石は、私のものではないんです
何と言っていいのか分からないファウスト。せっかく宝石を気に入ってもらえたのに、彼は女性の口説き方を知らないのです。

ならばお手本を見せようと、メフィストはさっそくマルトを誘惑し始めます。

あなたと結婚指輪を分かち合う男は、幸せですな!
そんな馬鹿な……何ですって!

(かなり動揺。でもちょっぴり嬉しい♡)

ああ、何という運命だ!
え~、このおばさん、もしかしてメフィストのことを好きになっちゃうの?
趣味わりぃな
この後、言い寄られる悪魔の戸惑いも面白いですよ(笑)。

というわけで、次回は二組のカップルの四重唱で〜す!

ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

背景色
  • 生成り
  • 水色