第5話 魅力的な幻影

文字数 1,126文字

悪魔から魂の取引を持ちかけられるファウスト。

しばし絶句し、迷いますが、メフィストの方はうやうやしく羊皮紙を取り出し、ファウストに見せてきます。

さあ、ここに署名を……
契約書の重みを表現し、オーケストラが不気味な音を奏でます。
…………
おや、震えてるのかい。

決心できない? 若さがあんたを呼んでいるのに?

じゃ、これを見るがいい
メフィストは何かを指し示します。

するとそこには美しい幻影が現れました。

…………

(糸をつむぐ村娘マルグリートの姿)

その清楚な姿に、ファウストは一目で心を奪われます。
攻めた演出だと、ここでヌードの女性を見せてしまうものもあります。日本だったらR指定かもね(笑)
素晴らしい……
一瞬にして心を奪われたファウスト。

もう迷っている場合ではありません。彼は無我夢中で署名します。


これで決まり。悪魔との契約が成立してしまいました。

それではご主人様
メフィストは毒の入った小瓶を持ち上げます。液体は泡立ち、口からは不気味な煙が上がっています。
さあ、これを飲み干すのだ!

これは死ではない。毒ではない。生きるための薬なのだ!

恐ろしい薬ですが、ファウストはもう恐れません。

恋をした男にとっては、何のこともないのです。

君のため 君のため 君のため!

愛らしく魅力的な幻影よ!

ゴクッゴクッ。

ファウストが毒を飲み干すと、魔法が効いてきます。


みるみる若返っていくファウスト。全身に力が漲ってきます。

オーケストラの音量がクレッシェンドしていきます。

…………!
両手を広げるファウスト。

オーケストラが大音量で、彼の感動を表します。

代わりに幻影は消えてしまい、ファウストはちょっとがっかり。

でもメフィストは、そんなことはどうでも良いとばかりに誘います。

参りましょう
私は再び彼女に会えるのか?
おそらく。今日のうちにも
それはいい!
私に快楽を与えてくれ

若い恋人たちを与えてくれ

彼女たちの愛撫を

彼女たちの欲情を

強い本能の力を

そして途方もなく豊かな

心と五官のうたげを

あんたに快楽を与えてやろう

若い恋人たちを与えてやろう

彼女たちの愛撫を

彼女たちの欲情を

強い本能の力を

そして途方もなく豊かな

心と五官のうたげを

さっき自殺しかけたのに、もう浮かれまくり。単純だな、ファウスト博士
若返りのシーンが劇的だね
若返りのシーンと、マルグリートの幻影を見せるシーン。どっちも演出家の腕の見せどころだね
様々な演出がありますが、こちらの動画では毒を飲んだファウストが宝箱(?)に頭を突っ込んで苦しみ(この間にカツラを取っているんでしょう)、再び起き上がった時には若者の姿に変身しているというもの。

皆さまのお好みに合うでしょうか?


動画の冒頭は、ファウストが世を呪い、メフィストを召喚するシーンから始まっています。

ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

背景色
  • 生成り
  • 水色